文:小池さん
写真:井上さん、岡本さん、小池さん
「2014つくし野ビオトーププロジェクトⅨ」本年度11回目「里山へ行こう!~春をさがしてハイキング」の活動報告をします。2015年2月21日土曜日午後の活動です。
今回は、本編の活動報告に続き、おまけ1,2…という順です。
《活動報告》
12時45分からの受付でしたが、12時半ころから皆さんをお待ちしていました。メールで2家族から参加申し込みがありましたが、今日も何人の参加者があるかわかりません。いつもながらドキドキと心配していましたが、三々五々参加者が集まってきてくれてほっとしました。
はじめに私から、今日の活動内容とテーマについてお話しし、講師の高見元久さんをはじめ、サポートのメンバー全員を紹介しました。高見さんから、里山と人の暮らしについてのお話をしていただきました。
出発の前に、歩きながら道端にある自然のものや特徴をさがし、見つけたら完成する「里山自然さがしビンゴ」のシートを参加者に分け、説明をしました。(小学生には25マスのビンゴ、未就学児には9マスの簡単なものにしました。)
数年前、ビンゴがそろったらキャンディを賞品としてあげることにしましたが、皆が元気すぎてちょっと収拾がつかなくなったので、その経験をもとに、今回はごほうびは休憩のときに全員に分けることにして、静かに歩きながらビンゴに載っているアイテムを探してほしいとお願いしまいた。
まちを抜け、雑木林に入っていくところで、昔の人がいろいろ里山を活用していたお話を高見さんに聞きました。
この道に沿って生えているクヌギやコナラの木も、薪炭(しんたん:マキやスミのこと)として利用されていました。その証拠に、木の切り株には昔切られた跡が残っています。クヌギやコナラは丈夫な木なので、上を切られても根っこや株は生きていて、次の年の春には萌芽更新(ほうがこうしん)と言って、若芽が出てきてグングンと成長し、また20年から30年を経過すると、マキやスミの材料として切ることが出来るようになるのです。
雑木林の中に入り、昨年の7月に活動した場所に行き、観察しました。
7月は暑い日でしたが、ここは青葉の木々におおわれて涼しく、地面には木漏れ日が差すくらいでしたが、この日は全く様子が違い暖かな冬の日差しが林床(りんしょう:はやしの下の地面の事)に降り注いでいました。この時期だけの日差しを浴びて生き抜いている種類の植物が居ることも高見さんにお話ししていただきました。
少し行ったところに、杉の切り株の断面の真ん中に、新しい植物が芽吹き、まるで立体的な植木鉢のようになっているものを見つけました。倒木更新(とうぼくこうしん:林の中で、木が切られそこに日が当たるようになり、新しい植物が芽吹くこと)のひとつの形のようでした。普通の自然林の中では、風や雷で横に倒れた木の幹の上に芽吹くことがあり、それを一般的にこう呼ぶのですが、この切株はヒトの手によって切られたものです。
大石神社、王子神社と2つの神社を巡りました。2つとも長い歴史があり、この地域が昔から栄えていたことが分かります。また、昔から神聖な場所でしたので社(やしろ)をとりまく樹木は、照葉樹(しょうようじゅ:葉っぱがつやつやして冬も葉をおとさない)やモミの木などの針葉樹(しんようじゅ)が巨木になっています。
特にモミの木は針葉樹のなかでも垂直に伸びて美しい姿です。こんな街の中でも、神社の中なので大切に守られ樹齢数百年を経て20mほどに育ち、遠くからもよく見分けることが出来ます。
246号線を陸橋で渡り、坂を登ってたどり着いた墓地の脇の高台から、それまでに歩いたルートを見返しましたが、前記のモミを見つけることが出来ました。さらに少し前まで、このモミの木がランドマークになっていたけれど、長津田の再開発ビルが出来たので、これが近傍一円から見ることが出来、新しいランドマークになったというお話しも聞きました。
246号線に並行して走る細い道は、いつも歩いているつくし野の道とは随分違っています。これは最近フットパスという呼び名で、身近な自然環境を観察できる道として注目されるようになっています。歩きながらコナラの木に大きなスズメバチの巣がぶら下がっているのも見え、驚きました。
地域の人に長く愛され、大切にされているお地蔵さんや手入れの行き届いているコナラの雑木林、その林床に落ちているたくさんのドングリを見つけたりしました。あちこちに紅梅・白梅が咲いているのも見えました。
ルートの最後あたり、もとは里山の風景が広がっていた場所が大きな流通施設が出来ていました。人間の生活には必要なものですし、ここは、東名高速、16号線、246号線とが交差する自動車交通には重要な場所ですからやむを得ないことではあります。
しかし、多くの木々が切られ、多くの土壌が切り取られ、ほんの少し前まではホタルの姿まで見られた場所が、大きく変貌してしまった姿を見ることは、残念ではあります。
高見さんが丁寧に説明をしてくださっているので、安心して私は一足先にセントラルパークに向い、皆の到着を待っていました。活動を歩ききったごほうびのささやかなお菓子と暖かい飲み物(ロイヤルホットミルクティー)を用意していたのです。
到着した皆さんと暖かい飲み物を飲みながら、感想を話しあいました。25個あったビンゴは、ほとんど皆、見つけられた人が多かったようでした。
2月中下旬という1年でもっとも寒い季節での活動でしたが、大雪で中止した昨年と違い、幸い今年は風が無く暖かい日差しの一日となり、絶好の活動日和でした。活動の翌日は、冷たい冬の雨の一日になりましたので、なおのこと良かったと後で思いました。
最後に、恒例の黄色く咲きほこるミモザの木の前での集合写真を紹介しておきます。
今回の支援者・ゲスト・講師は、高見さん、井上さん、平嶋さん、北里大学の学生小松さんと小池でした。月刊誌「スクール・アメニティ」の岡本さんが、今回も取材に来てくれました。
そして参加者数は、小学生12名(1年生:6名、2年生:5名、3年生:1名、4年生:0名、5年生:0名、6年生:0名)、未就学児1名で児童の合計13名、中学生0名、保護者11名、講師、支援者、学生ボランティア、雑誌取材者は6名で、全体の合計は30名でした。参加児童の家族数は12家族でした。
参加して下さった皆さん、ご支援して下さった皆さんありがとうございました。
《おまけその1:スクールニュース》
今回も月刊誌「スクール・アメニティ」の記者岡本さんが参加して下さいました。当日の活動内容は、同誌が発信するブログニュース「スクール・ニュース」に掲載されています。
↓
『体験型環境教育の現場 つくし野ビオトーププロジェクト2月』
《おまけその2:サヤエンドウに続いてソラマメの芽が出たぞ!!》
サヤエンドウは年明けにそうそうに芽を出して安心しましたが、ソラマメはまだでした。それが幸い、発芽率は7割ほどですが、元気に芽を出したものもあります。植える時に繰り返し、ちゃんとした深さに植えて欲しいとお願いしましたが、霜柱が何回もできて次第に種が浮き上がり、地表に出て乾いてしまった物もあり、これはもうだめで、ちょっとかわいそうな気がしました。
春にはたくさんの収穫があるといいな…と願っています。
《おまけその3:「きずなづくり大賞 東京社会福祉協議会長賞」受賞》
ビオトープ専用畑を貸して下さっている「エミ」(仮称)おばあちゃんと私との交流を描いた文章が評価していただきました。
→ 〈きずなづくり大賞〉
私は、2011年度で「カブトムシはすごい!~小学校長がひらく地域とのきずな」というタイトルで、同じ「東京社会福祉協議会会長賞」を頂きましたので、3年ぶり2度目の同じ賞の受賞ということになります。
今回は「エミおばあちゃんのほほえみに~畑がつなぐ地域と命のきずな」というタイトルで、文章は東京社会福祉協議会のHPで読んでいただくことが出来ます。
←作品集の表紙はこちら。
文章はこちら〈入選集のpdfファイル〉で読んでいただけます。
3番目に私の文章が載っています。
いただいた賞状や京王プラザホテルで2月26日午後に行われた授賞式の様子をご紹介しておきます。
この賞は、2年前まで「家族力大賞」という名前でした。
(←2011年の作品集の表紙)
2011年の家族力大賞受賞の当時の文章も読んでいただくことが出来ます。
→ 〈2011年受賞作品集のpdfファイル〉
私は「つくし野ビオトーププロジェクト」の内容や経験した事を、環境学習などの参考例として広く社会に発信し、伝える努力をしています。発信する対象と先方の規定によって団体名、個人名のそれぞれで応募しています。
それらが評価されれば、客観的な社内的評価として、支持して下さっている皆さんと共有できる…との気持ちです。
今年度は、昨年秋の「毎日農業記録賞 優良賞」に続く、2つ目の受賞になりましたが、いずれも個人名による応募のものでした。団体としても本年度も応募したのですが…。
今後も様々な形での情報発信に、努めて参ります。
この活動の趣旨と歴史にご理解いただける皆様の、更なるご支援をお願いいたします。ありがとうございました。
以上です。
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