次の活動実施予告・実施済の報告


〇第8回定例活動は日程変更し、11月17日日実施済です。
〇第5回特別活動は、10月27日日実施済みです。次回は未定です。

2008/06/06

インタビュー 小池さん、「カブト虫御殿」を語る!

第二カブト虫御殿(ごてん)の着工を間近に控え、準備に奔走(ほんそう)される顧問の小池さんに、カブト虫御殿の歴史、新しい御殿のこと、そして夢を熱く、楽しく語っていただきました。

質問: 最初のカブト虫園の建設のきっかけは?

2年前、田村校長がビオトーププロジェクトを始めたときのお話です。

先生から、「カブト虫の飼育施設を作りたい、堆肥(たいひ)置き場にされている古い水槽(すいそう)を活用できないだろうか?」という問いかけがありました。

現地を見たところ、古い水槽はコンクリートブロック製で、長い間放置(ほうち)されていたのでいつのまにか枡(ます)の中にハマユウが咲き、カンナが茂っていました。堆肥置き場としてもうまく役立っていませんでした。

元は水槽だったため、掃除して中の土を入れ替えただけでは湿潤(しつじゅん: しめっぽ)すぎると考え、水分の管理をしやすいように、枡のうえに屋根などをつけ、観察しやすく世話もしやすい扉を付けることを考えました。


質問: 現在のカブト虫御殿までの移り変わりを教えてください。

1年目はよくばらず、全6枡のうち南側の3枡、半分のみの整備をしました。

屋根を作るにあたり、構造(こうぞう)はコンクリートブロックでしっかりしたものでしたので、これを基礎(土台のこと)に出来ると考えました。

小池は1級建築士の資格(しかく)を持っています。小学校やビルの設計をいつもはしています。

いつもの仕事は、当たり前ですが、建設費用もありプロの施工者(せこうしゃ)もいる前提で設計図書(せっけいとしょ)*1を作ります。

しかし、今回は予算なく、活動時間内で、特別な技術なく、保護者のみの手で施工できる・・・というないないつくしの難題(なんだい)に挑戦(ちょうせん)したのです。

まず、水槽の底から持ち上げるために枯(か)れ枝などで一番下に隙間(すきま)を設(もう)け、通気性(つうきせい: 風通し)のあるシートを敷(し)き、その上に堆肥などを入れる方法にしました。

当時は夏も近く、動かしてはいけない蛹化(ようか: 土の中に卵形の部屋をつくって蛹[サナギ]になる)の時期が迫(せま)っていましたので、屋根を作ることより、幼虫たちの居場所となる堆肥マットを先に整備しました。

2006年5月第2回活動より

2006年5月第2回活動より

顧問の砂長さんのご支援で、2×4(ツーバイフォー)の廃材(はいざい)をいただける目途(めど)が立ちました。

設計図も作りましたが、どのような材料がそろうか不明だったため、現場の枡の枠(わく)を用(もち)いて、手に入った材料を並べながらの作る方法を考えました。

壁面(へきめん)2面を先に作り、それを立ち上げる方法で片流れ(かたながれ)の構造を作り、変形を防ぐために斜材(しゃざい)*2を入れ、コンパネ*3で屋根を葺(ふ)く方法を思いつきました。

工法的工夫で、初日は数時間の作業で簡単にネットを張るところまで完了。児童が乗っても、大風が吹いても危険のないようにアンカー(止め金)も打ちました。

児童にはちょうどいい高さですが、大人にはひどく頭をぶつけやすいものになりました。

でもこれは「設計が悪い?」のではないのです。無料で頂いた材料の長さにそろえたためです。短い材料しかもらえなかったためなのです。

2006年6月第3回活動より

さすがに1日ではこれ以上は無理。有志を募(つの)って、数日で扉もつけ、開け放しに出来るようにもしました。

最後にカブト虫の角をかたどった棟飾り(むねかざり)を2つ用意し、校長先生の手でつけて頂きました。

校長先生は「カブト虫小屋」と呼んでおられましたが、立派な棟飾りを付けたことでもあり、わたしはひそかにこれは「御殿(ごてん)」ではないかと思っていました。

わたしが繰り返し、ごてん、ゴテン、御殿・・・と言い続けていましたら、次第に皆さんもそう呼んでくださるようになりました。

2007年3月第11回活動より

2年目は水分管理や餌(えさ)のことなど難しいものの、やはり屋根のある方式はよいという自信を深め、1年目には手をつけなかった北半分の3枡分も増築することにしました。

2007年6月第3回活動より

実は最初から増築も可能なように配慮(はいりょ)はしておいたのです。施工しやすい段のついた切妻(きりづま)という屋根の形です。

今回は、1年目の実績もあり、作業は比較的容易でした。

一番難儀(なんぎ)したのは枡一杯に育っていたハマユウを取り出すこと。多くのお父さんたちのご支援もあり、カンナの地下茎も丁寧(ていねい)に取り出し、プールの脇に移植しました。

すでに1年ほど経ちましたが、カンナもハマユウも新しい場所で花を咲かせてくれています。

あわせて、鉄製の倉庫を移設しましたので、校舎や運動場からも良く見えるようになりました。校長室からも良く見え、校長先生ご自慢の学校施設になったのではないかと思っています。

この年は、すこし予算も付けていただき、底にはプラスチックのネットを敷(し)き、扉も中を見やすいように黒いプラスチックのネットを張りました。



棟飾りは1つが倉庫移設のときに、当って壊(こわ)れてしまったので、1つだけを屋根の中央に堂々と飾る方法に変えました。これもよいのではないかと思っています。




質問: 次は、今回の第二カブト虫御殿の建設のきっかけとめあてをお聞かせください。

すこしづつ、1年ごとに手を加え、より良くしたいという考えです。

もともとカブト虫は屋根のあるようなところにはいません。森の中の雨の当る落ち葉の奥に、ひそかに成長しているイメージで、屋根のないタイプ(校長先生の前任地、鶴川2小のやり方)も有ってもよいと考えたのです。

幸い、体育機具倉庫の裏側が空いており、廃材も使えそうですので・・・。

あいた場所があると何か作りたくなってしまうのは、私の性分(しょうぶん)かもしれません。

町田市立鶴川第二小学校のかぶとむし園

今回のものは「御殿」と呼んでいただけるものになるかどうか、わかりません。出来てから皆さんがどのように呼んでくださるかによって、名前は変わると思います。

少なくとも、いろいろ異なった環境を作っておくことがカブト虫にもよいと思うのです。違う形で活動する姿が見られるのかも知れません。

質問: カブト虫御殿の将来の夢を教えてください。

第一カブト虫御殿には今、角が1つ付いています。

中に入れてあるシイタケのホダ木からはコクワガタも発生しますから、クワガタの歯の形の何かオブジェ*4があってもよいかもしれません。

第二カブト虫御殿にも何かシンボルを付けたいですね。なにがいいかな?たのしみです。

質問: カブト虫を飼っている子供達へのアドバイスをお願いします。

私は、子供のころからいろいろな生き物を飼ってきました。大人になった今でも自宅の水槽にはいろいろな種類の魚が泳いでいます。

小池さんの水槽

昆虫は飼うことが難しい種類もいます。たとえばセミは成虫をつかまえてもすぐに死んでしまいますし、幼虫から育てることは大変に困難です。長い時間もかかります。

しかし、カブト虫は成虫も飼いやすく、つがいで育てれば卵もよく産みます。幼虫からも大変育てやすい昆虫です。1年で成虫になります。

でもね、ひょっとしたらカブト虫はこどもにも大人にもみんなに好かれるあのツノや力強い姿などとあいまって、この飼いやすいという特徴で、人間たちに世話を焼かせ、繁栄(はんえい)している・・・という戦略(せんりゃく)なのかもしれません。

質問: では最後にひとことお願いします。

いきものを飼うと、世話を怠(おこた)れば簡単に死んでしまうことを思い知ります。

また、羽化して成虫になったときの喜びもとても大きいものがあります。

私が小学校の頃アゲハチョウを机の上で飼っていました。机の上は黒いころころしたフンだらけになりましたが、美しいチョウに羽化したときの喜びはたとえようもないものでした。

是非、皆さんも自宅で、魚でも昆虫でも工夫をして飼ってみて下さい。

いきものの美しさ、すばらしさ、不思議さ、はかなさをとても感じていただけると思います。

でもね、相手はいきもの。前もって十分に勉強や研究をして、飼うための設備(環境)を整えた上で捕まえてきてくださいね。いろいろな工夫をしないと、いきものたちをかわいそうなことにしてしまいますから。

つくし野小のカブト虫御殿でたくさんカブト虫が増え、欲しい人に配れる日を、そしてそのカブト虫で大相撲(おおずもう)大会をひらける日を楽しみにしています。


長い時間、お疲れ様でした。お忙しいところインタビューにご協力いただき大変ありがとうございました。

最後に田村校長先生からインタビューへのコメントをいただきましたのでご紹介いたします。
校長から一言

本校は、かつて理科・生活科の研究をよく行っており、 校内の施設にも、地域や保護者の人材的にも遺産が多く残っていました。

この人々に働きかけて校内の施設を再利用すれば、さらにすばらしい学習環境が整えられるのではないかと考えました。

私の呼びかけにこたえ活動してくださった皆様方には、 感謝の気持ちでいっぱいです。

それから2年、新たなメンバーを加えながら活動が盛んになってきていますが、 活動当初の気持ちが小池顧問のコメントによく表れています。

この気持ちを忘れずに、今後も活動を続けていきたいと思います。


校長先生、ありがとうございました。


建築用語などの解説

注1: 【設計図書】 工事請負契約(こうじうけおいけいやく)を交(か)わす際に、業者が添付(てんぷ)して施主(せしゅ)に提出すべき工事の全マニュアル、全設計図とでも呼ぶ書類の束(たば)のこと。(All Aboutより) [本文に戻る]

注2: 【斜材】 水平でも垂直(すいちょく)でもなく「ななめ」に材料を用(もち)いて全体の構造(こうぞう)を補強(ほきょう)する筋交い(すじかい)のような役目の部材 [本文に戻る]

注3: 【コンパネ】 建築用語ではコンポジットパネルあるいはコンクリートパネル。前者はベニヤ板などの合板の総称。後者はコンクリートを打設(だせつ)するときに用いる型枠(かたわく)に用いるような厚い合板。ここでは後者などの耐水性のある厚い合板の意味。 [本文に戻る]

注4: 【オブジェ】 昆虫などの特徴を単純化してデザインしたシンボル的な飾り [本文に戻る]

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