文:小池さん
写真:平嶋さん、小池さん
小池です。9月12日(土)に本年度6回目(特別活動3回を合わせると9回目)の定例活動を実施しましたので活動報告をします。
《2015年度第6回定例活動報告》
今年は、それまで続いた猛暑日がウソのように、お盆明けのころから長雨が続き、天候不順でした。
1週間前に今回の活動場所の下見に行き、活動用の資材を運ぶ車を置かせていただくお寺にご挨拶に伺った時も、川底は泥っぽく生き物の姿もカワエビ程度でした。
その後、台風の通過もあり、増水も心配され、この日の活動を心配していました。しかし、どうしたことかテレビの天気予報はこの日だけの晴天を予報するようになり、当日は天気予報通りの久々の晴天。久々に見られた青空がまぶしい一日となりました。
空気は乾いていてとても快適でしたが、逆に30度ほどの高温になり、熱中症対策の水分補給に気を付けながら、安全確保に注意をしての活動となりました。
活動場所の恩田駅近くの奈良川沿い親水スペースはここ数年、横浜市やボランティアの手によって草刈りなどの整備がされています。
それで、かつてのように数週間前から活動スペースを刈り払い機で草刈りをし、準備をしておく必要はないのですが、日陰が少ないので、午前11時からブルーシートを敷いたり、手洗い用の水を用意したり、タープを張るなどの準備を始めました。
川の水はやや増水していましたが、雨が降って川底の泥が流され、すっかりきれいな砂利の川底になっていて驚きました。生物相も大きく変わっていました。
顧問の平嶋さん、樋村さんご夫妻、一ツ橋大学大学院生の金森さん、高見さん、船崎さんと私の計7名での作業でした。
準備を終えると、参加者はつくし野駅午後1時集合でしたので、私だけあわててつくし野駅に向かい、皆さんを待っていました。
いつもながら、皆さんを待つ間は一人も来てくれないのではないかと心配して待っています。それでも、三々五々、網やバケツを持った家族連れが色々な方向から集まってきてくれ、ほっとしました。
大体の活動の流れを説明し、活動場所へ向かいました。電車で2駅ほどの移動です。つくし野の駅も長津田の駅も、網やバケツを抱えた家族連れが30人ほどワイワイと楽しげに話しているという、いささか普段の光景とは異なった情景が見られました。
長津田から恩田の駅に向かう車中からは、色づきはじめた水田の稲穂が良く見えました。電車の中でも楽しい時間がありました。
恩田駅から、活動スペースに異動し、先ずは準備しておいたタープの下で給水。一休みしました。
初めに私から、今日の活動のおおまかな手順と注意事項を説明しました。
先週の下見の時に見つけた、青い羽根を持つ野鳥カワセミのこと、親水型護岸とカミソリ護岸の違いなどをお話ししました。
次に、今回の特別講師の一橋大学大学院の金森匡子さんから、水や資源を大切にすることをテーマにした、紙芝居をしていただきました。助手は樋村さんが勤めてくださいました。
お話しは、「タヌキが、水に化けて、自然をめぐる中で、環境を守ることの大切さを学ぶ」内容でした。水に関わるクイズも5つ、出して下さいました。
私も、以前この活動で、水のクイズを出しましたが、こういう紙芝居の形でのクイズはとてもわかり易くて、参加者の年齢にちょうどあっていて、良かったです。
次に、高見顧問から、この川で採ることができる、モツゴ、ドジョウ、カワエビなどの生き物の説明をしていただきました。
ウシガエル(食用蛙)のオタマジャクシはすでに後ろ足のみならず、前足も出て居るものがいました。そもそも彼らは外来種。アメリカから食用に養殖をするために日本につれてこられたものが日本中に広がってしまった生き物ですと紹介しました。
エサ用として同時に連れてこられたアメリカザリガニも、すっかり日本中に広がってしまい、今では子どもたちに親しまれていますが、本来はここにいてはいけない生き物です。
ヒメダカもいましたね。これは人間が観賞用に人工的に作り出した生き物。自然界に居てはいけない生き物です。
こういう生き物たちは、自然界に広がってしまうと、日本に昔からいた生き物たちの場所と時間と食べ物を奪っている…というお話もしました。
だから、家の中で飼うのは良いけれど、本当は、ここに居てはいけない生き物だとちゃんと知ることが大切です。誰かが放してしまった生き物たちは、ここにそっと戻すことは良いけれど、どこか別のところに放してはいけない…というお話をしました。
わたしから、魚を採る色々な道具の話をしました。
プールのヤゴ救出の活動の時も大活躍した網も、1つは買ったものですが、2つは私の自作です。自宅で夜なべして作った時のお話しもしました。
お話しの後は、いよいよ川に入って、生き物を採りました。深い場所には、予め黒と黄色のトラロープを張るなど、危険の明示をしておきました。
樋村さんが大きなオニヤンマを見つけて見せてくださいました。楽しいとついつい時間が長くなってしまうので、途中で1回休憩を入れ、給水をしてからの活動をつづけました。
この日は、気温が高くなり久々に夏の日差しでしたが、風が乾いていてとても心地よい時間が過ぎました。楽しい時間は、あっという間に過ぎていきます。
バケツに、いろいろな生き物が捕れました。生き物を飼うことはなかなか世話が必要で、大変です。責任を持って飼える人はつくし野に連れて帰っても良いけれど、それが出来ない人は是非、この場所で逃がしてやってほしいとお願いしました。
地球は、宇宙から見ると海が目立ち、水の惑星ともいわれるけれど、水自体は決して多くは無いこと、特にほとんどは海水で、人間が利用できる川や池の真水は本当に少ないことをお話ししました。
全員が親子あるいは家族での参加者でしたので、つくし野まで見送ることはせず、恩田の駅までだけの見送りとさせていただきました。私や顧問の皆さんは、資材や道具の撤収の作業があったのです。
それでも、恩田の駅まで見送った時、参加者の皆さんが私にあいさつをしてくれました。また、川沿いを活動場所に戻ろうとしているとホームから「小池さ~~~ん」と皆が声を掛けてくれ、とてもとても幸せな気持ちになりました。
今回の活動の参加者数は、 未就学児:6名、1年生:6名、2年生:4名、3年生:4名、4年生:0名、5年生:0名、6年生:0名、中学生0名。高校生0名、保護者:16名、運営側として、顧問他7名(金森、樋村夫妻、平嶋、高見、船崎、小池)、取材者:1名(岡本)でした。子どもの合計:20名、大人の合計:24名の総合計44名でした。
参加校は、つくし野小以外の児童は、長津田小、南第4小(2名)、森村学園、ねむの木保育園などでした。
この活動は、つくし野の街(を中心とした地区)に育つ子どもたちが、子供たちの時間にこそ経験すべき様々な体験活動を、小学校の公的活動では実施しにくい内容を優先し、特に環境学習の視点を重視しつつ企画し、実施しています。
主催者は公的助成先から一切の報酬を受けていません。勤務先からも一切の補助・評価も受けていません。この考えは活動創設の10年前から一切ぶれておらず、今後も変わりません。
参加して下さった皆さん、ありがとうございました。準備や活動を支えて下さった皆さんへの感謝の気持ちを忘れずに!
《おまけその1:スクールニュース》
いつもの教育施設系月刊「スクール・アメニティ」誌の記者、岡本さんがこの日も取材に来てくださいました。「スクール・ニュース」の記事は下記です。
↓
『スクールニュース vol.144 編集部から 体験型環境教育の現場
つくし野ビオトーププロジェクトシーズンX 9月』
また、2年前の3月の活動(やさいのなかまさがしクイズ)を、同誌の「話題を追って」…というページで紹介して下さっていたことをいまさらながらに知りましたので以下に転載しておきます。
《おまけその2:鉄鋼マン」さんからのお便り》
「鉄鋼マン」さんから、お便りをいただきました。
先日はありがとうございました。結局、わが家族5人は電車には乗り遅れ、一本後の電車で帰りました。 先日の活動の感想文です。
1.子供のころの思い出
私は、子供のころ、カブトムシ取り以上に魚すくいに熱中しておりました。 親友のK君は、あらゆる遊び事を器用にこなしており、小学生の頃から釣りに熱中しておりましたが、不器用で、かつ、ウキを見つめる根気に欠けた私は、手っ取り早く結果のでる網(小池さんが作ってきてくださったような網で、私の田舎では直線部が竹、曲線部が杉の枝だったように記憶しています。)で、魚すくいばかりしていました。
主戦場(注:主な魚とりの場所のこと)は、奈良川のような“川らしい川”ではなく、田んぼの間の用水路でした。当時は、U字溝(注:コンクリートでできた排水用の施設。小動物にはとても大きな障害となるもの)も敷設されておらず、両岸も草だったので、小魚がたくさんいました。
主な狙いは地元で“ボヤ”と呼ばれていた小魚でしたが、子供用に買った『水辺の生き物』という本によると、どうやら、カワムツというのが正式名称のようです。
ボヤ以外にも、ドジョウはたくさん取れましたが、ハヤやらオイカワやら、の素早い魚は取れたためしはなく、その代わりイモリやタガメ・水カマキリ・ゲンゴロウ・ガムシと言った、水生昆虫そして多くのカエル達が取れました。
そんなことばかりして育ちましたので、密かに子供たち以上に私自身が当日を楽しみにしておりました。
2.当日の感想
駅から、川沿いに歩く間、川の中にいるカメやらコイやらを見て、こんなの取れちゃったらどうしよう、と若干ドキドキしました。
実際に川に降りた辺りにはあまり大きな魚達はいなかったようですが、ちっちゃなザリガニ、小魚、川エビ、おっきな牛ガエルのオタマジャクシが取れました。
子供達には『キャッチアンドリリース(注:捕まえた生き物をその場で逃がすこと)が今回活動への参加の条件だよ』と言い聞かせ、水槽もバケツも持たずに出かけましたが、実際に獲物を目にした長男は、『せめてビニール袋に入れさせて』と懇願しますので、一旦は袋に入れました。
でも、最終的には、川に放して帰ってきました。
子供のころ、決して『リリース(注:逃がすこと)』などしたことがない私が、子供に強いるのは本意ではないのですが…。長男の後ろ姿が泣いております。
でも、既に、我が家の玄関にはカブトムシ・クワガタの水槽が林立している状況では、これ以上、生き物を飼うわけにもいきませんので…。
子供のころ慣れ親しんだ“ボヤ”は取れませんでしたが、予め、顧問の皆さんが捕っておいてくださっていた魚達のバケツ・水槽で再会する頃ができましたので私は、大変満足でした。
子供たちも、それぞれに(何故だか次男はアメンボを追いかけておりましたが…)楽しい時間を過ごすことができたようです。
私が子供の頃遊んでいた用水路よりは、遥かに大きな川で、大きな石もありましたので、3才の娘を連れて入るのには若干、ためらいもあったのですが深いところにはロープを張る等、十分な配慮を頂きましたので、おかげさまで楽しい時間を過ごすことができました。
私が子供の頃は、自然に囲まれてはいましたが、こういう場を設けてくれる人がいたわけではなく、今、親になって考えると、あの頃、一人で山やら川やらに踏み込んで行っていた私の無鉄砲な行動を黙って見ていてくれたうちの親は、相当心配だったのではないかと思います。まあ、田舎ですから、それほど危険も無かったかもしれませんが…。
町田は、基本、自然に恵まれていますが、そうはいっても、そこそこの危険は潜んでいます。一人で山や川に踏み込んでいくことは、とても危ないと思います。 そういう中で、毎回、危険を排除して、安全に自然に親しむ機会を作っていただけていることは大変ありがたいことだと思います。
引き続き、よろしくお願いします。(鉄鋼マン)
鉄鋼マンさん。うれしいご感想をありがとうございました。
川などの小魚は地方で、いろいろな呼び名がありますね…。それだけ、身近だったという事です。
私も地方都市の、更に地方の町で小学校6年生まで育ちましたので、釣りや魚とりなど似たような経験をたくさんして育っていますので、お気持ちはとてもよくわかります。
それ故、ちょっと工夫すれば似たような経験ができるつくし野の子どもたちにも同じような経験(原体験とも言います。)をして欲しく、大人になってから勉強した知識も踏まえて環境学習という姿にし、こんな活動を始めてもうそろそろ10年です。
鉄鋼マンさんは、自然体験をちゃんとして大人になっておられますが、つくし野の保護者の皆さんの多くは、子供のころの原体験をせずに大人になっている人も少なくないように見受けられます。
社会全体に、非常時・災害時の対応力のみならず、面倒なことが多い世の中を生き抜いていく力…のようなものが弱まっているのではないかとさえ、思えてなりません。
鉄鋼マンさんへのご提案です。お子さんのためにも、ご自身のためにも玄関のカブトムシの幼虫たちは、少し里子に出して(だれかに育ててもらう事)、水棲の生物も飼ってみてはいかがですか?
奥様やお子さんたちの顔のみならず、魚たちの顔も見たくなって、お仕事のおつきあいゴルフは断って、早く会社から自宅に帰りたくなると思いますよ…。
水棲生物は、カブトムシよりも世話がかかりますが、動きも姿も1年中楽しめます。日本固有の生物を身近に飼って接していただくことは、子供たちのためのみならずご自身の癒しになるとも考えます。是非是非、お勧めします。
ありがとうございました。(小池常雄)
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