次の活動実施予告・実施済の報告


◎2024年度もつくし野ビオトーププロジェクトを実施します。
〇第1回定例活動は4月20日土専用畑で年間プログラムの発表や新キャベツと「?」の収穫体験などです。希望者にカブトムシの幼虫配布もします。
〇 第1回特別活動は、実施日・内容ともに未定です。

2016/01/20

活動報告 2015年度 第10回 「小鳥を庭に招待しよう!」


文:小池さん
写真:平嶋さん、岡本さん、小池さん



1月16日(土)に本年度定例10回目(特別活動4回を合わせると13回目)の定例活動を実施しましたので活動報告をします。(小池常雄)



《2015年度第10回定例活動報告:午前の部》

毎年、この活動は午前と午後の2部制です。

午前は、つくし野小学校の校庭に10年前から付けている巣箱の営巣状況の確認と清掃、再取付。午後は、野鳥についてのお話しと巣箱作りです。

午前中の活動は、10時から視聴覚室で始めていた午後の活動の準備を中断して、正門に集合して開始。例年通りに、校庭を時計回りに巣箱をひとつずつ確認していきます。


1番は校舎西端の鉄骨の非常階段に付けた物。例年営巣率が高い場所です。ここでは28mmの巣穴では入らないはずのスズメが営巣しているのを発見。

スズメは臆病な割には、巣作りにはおおざっぱなのか、シジュウカラのようにあまり丁寧な巣を作らない傾向にあるのですが、この巣は違い、とても丁寧に四角い巣箱の中に、同心円状にイネ科の植物の茎や葉、入口の所にはおそらくヒヨドリのものではないかと思われる羽まで使われてとても丁寧に作られていました。



2番目は、正門横。ここも付けてから、毎年途切れることなくシジュウカラの営巣が続いています。


参加の皆さんにもお話ししたのですが、シジュウカラが一番怖い天敵はカラスです。逆にカラスにとっては、ヒトが一番怖い存在です。それをシジュウカラは知っているのか、ヒトのそばならカラスが近づいてこない、子育ての間にヒナがカラスに襲われることは無いと思っているのか、子供たちが毎日登下校する校門の手が届きそうな場所に、毎年営巣するのです。




3番目は、校舎北側の道路の横。ここにもシジュウカラが営巣。孵(かえ)らなかった卵が一つ残っていました。



4番目は、やはり校舎北側の道路の横。シジュウカラの営巣を確認。

5番目は、視聴覚室の横、学童の施設の北側です。ここはやや低めに取り付けてありましたが、ここにもシジュウカラの営巣を確認。ここまで5連続で営巣を確認しており、なかなか優秀です。



6番目は、校舎南東の遊具(うんてい)の横。ここは残念ながら営巣は無し。

7番目は、プールの東側の桑の木。ここにもシジュウカラの営巣が確認できました。

最後は、東門近く、体育館の南側。スズメが少し巣材を運んだあとはあったのですが、営巣は無し。



結果とすれば、8つ付けてあった巣箱には、スズメ1、シジュウカラ5の計6つの営巣が確認できたことになり、ここ数年ではとても高率の営巣が確認できた年でした。



昨年、いたんだ巣箱をいくつか取り外しましたので、今年は、ひし形タイプを2つ増設することにしました。

1番と2番の間の正門の右(教員用玄関の右上)と校舎北東角のアオギリの木に新しい巣箱を増設しました。これで、2016年度は、校庭では10個の巣箱が、小鳥たちの営巣を待つことになります。




今回:午前中の活動の参加者数は、
未就学児:2名、1年生:3名、2年生:1名、3年生:1名、4年生:1名、5年生:0名、6年生:0名、中学生:0名、高校生:0名、保護者:6名で、参加者は6家族でした。運営側として、顧問他3名(平嶋、船崎、小池)、取材者:1名(スクール・アメニティ:岡本さん)でした。子どもの合計:8名、大人の合計:10名の総合計18名でした。

参加校は、つくし野小以外は、つくし野幼稚園、森村学園でした。





《2015年度第10回定例活動報告:午後の部》

午前中の参加者を見送った後、早速、午後の準備を再開。

年間の活動の中でもこの活動が、参加者に渡すものが資材・道具ともにとても多く、お見せする歴代改良を加えてきたサンプルの巣箱や野鳥の巣なども数多く、準備が一番大変なもののひとつです。



12時45分頃から参加者が集まり始め、用意しておいた机や椅子が足りなくなり、あわてて補充しました。今回の活動に限り、例年通り、500円の材料代を頂きました。


初めに私から、来年度助成を受けることが確定した「サントリ―世界愛鳥基金」の紹介をしました。今回はこの基金からいただいた2つの資料(身近な小鳥のパンフレット)をもとに進行しました。


(鳥の鳴き声はこちら→「日本の鳥百科」

この基金は、平成2年からコウノトリ、トキ、ヤンバルクイナ、ニホンライチョウといった野鳥保護や研究に大きな額の助成を行っている歴史のある基金で、信託銀行による公益信託という形で、公平性・公益性を担保する形で実施されているものです。

私たちは今回「地域愛鳥活動部門」の助成を受けることになったのですが、これは平成28年度で11回目になり、全国で7~10件程度に助成されるものです。

題目は「大都市近郊住宅地における野鳥生態の理解推進と野鳥が住める環境理解・保護、巣箱の設置」…というやや長いものです。

活動歴10年目をまもなく完了しようとしているつくし野ビオトーププロジェクトは初年度から野鳥に関わる活動を途切れることなく継続しています。これまでの実績と経験をより広く、社会にアピールし、認めていただく目的もあり、応募していたのです。



後は例年通り、つくし野で見られるスズメ、メジロ、カラス、ムクドリ、シジュウカラ、ヒヨドリ、キジバト、コゲラ…といった種類の特徴について、説明しました。昨年末、専用畑のカキの木の原木に営巣されていたヒヨドリの巣を標本にしたものを紹介しました。



例年作っているのはシジュウカラの巣箱。木の又のところなどに巣を作るメジロやヒヨドリ、キジバトは住宅不足になることは無いけれど、シジュウカラやスズメといった樹洞(じゅどう:木などの中に空いた空洞:くうどうのこと)性のトリにとっては、とても住宅難であるとお話ししました。

私の家の庭で、昨年5月、シジュウカラの巣立ちが観察できた巣箱とその時のビデオも紹介しました。例年、町田市あたりでのシジュウカラの巣立ちは5月の連休明けです。

もう20年ほど、わたしは自宅に色々な形の巣箱を研究して設置し、何度も庭で営巣してくれた経験を持ちますが、例年巣立ちは5月の連休明けの平日。

自宅に手間をかけて手作りした快適な住宅を提供している私に、「ありがとうございました。お世話になりました。」…などという挨拶の言葉もなく、ある日帰宅すると妻から、巣立ちがあったことを知らされ、あれだけにぎやかだった庭が静まり返っているのを、次の朝知るのです。

しかし、昨年のシーズンは、春が早かったせいで、連休の内に巣立ちがあり、20年来の夢がかない、動画を収めることが出来たのです。この動画は、昨年5月のブログで見ていただくことが出来ます。



小鳥に庭に来てもらうには、ヒマワリのタネなどをおくと良いこと、シジュウカラが好きなのは脂肪分が多いヒマワリである事、メジロはとても甘いもの好きでミカンやリンゴが大好き…というお話もしました。

今年はシジュウカラの巣箱に残された卵が2つ手に入ったので、ガラスの容器に入れて皆さんにお見せしました。

とても小さい卵と思いましたか?私は、母鳥の大きさを考えるととても大きいように思います。あんな小さな体で、わずか10日ほどの間に、毎日のようにこんな大きさの卵を産むということは、本当に大変な事のように思います。



トリについてのお話しは、私が好きな分野なのでいくらでもお話しする内容はあるのですが、この日は全員に巣箱を持ち帰ってもらわねばなりません。お話しはそこそこに、作業に取り掛かることにしました。

金尺とのこぎりの使い方の基本をお話しして、皆さんに作る巣箱の設計図を選んでもらいました。



今年は、バットボックス(コウモリ用の巣箱)を作る人は居なくて、エサ台を作ったのは1家族(2つ目で作った家族もいましたが…)。多くの人たちが、巣箱作りに取り組むことになりました。

家族単位で、にぎやかに作業が進みます。父と娘、母と息子と組み合わせは様々ですが、木の板から切り出して形あるものを作るのはなかなか経験していないのではないですか?

なかなかいい光景が部屋全体に広がります。








例年、15時半を過ぎると、早々と出来上がった家族とそうではない家族が出てしまい、顧問の皆さんには遅れた家族のサポートに入ってもらうのですが・・・。

途中まで、一人のお母さんが3人の同級生の世話をしている状況になかなか気づかず、サポートが遅れてしまい…。それでも16時過ぎには、ほぼ皆の巣箱が整い記念写真を撮るところまでこぎつけました。



最後に、例年の私のわがままを聞いていただいて、子供たちに巣箱をランドセルのように背負った集合写真を写しました。この情景は、保護者の皆さんにも人気があり、シャッターチャンスともなりました。





今回のプログラムは、10年目、10回目でしたが、野鳥を取り巻く環境も、この10年20年で大きく変わっています。少しずつ、その時の最新の知見や情報をもとに修正して実施しています。

町田市内の住宅地の中の私の家のほんの小さな庭を訪れる野鳥にも、ゆっくりとですが、確実で見逃すことが出来ない変化があります。

私たちの家が、昔と違って新建材で作られ、つるつるすべすべで、もぐりこんで巣を作れるような隙間がなくなり、スズメが急激に減っている…というお話をしたところ、シジュウカラ用の28mmではなく、スズメが入れる大きさの巣穴にしたいと言ってくれた男の子がいてとてもうれしく思いました。

冬季の野鳥のエサやりは、適切な量の範囲に止めねばなりません。

また、シジュウカラに巣箱を提供することも、本当はシジュウカラにもカラスにもスズメにも、平等でなければいけない野生の命に対して、ほんの少しえこひいきしていることを忘れないで欲しい…というおはなしもしました。

参加して下さった皆さん、ありがとうございました。
ご支援いただいた皆様も、ありがとうございました。



今回(午後)の活動の参加者数は、
未就学児:4名、1年生:5名、2年生:5名、3年生:3名、4年生:1名、5年生:0名、6年生:0名、中学生:0名、高校生:0名、保護者:13名で、参加者は14家族でした。運営側として、顧問他4名(樋村、平嶋、高見、小池)、取材者:1名(スクール・アメニティ:岡本さん)でした。子どもの合計:18名、大人の合計:18名の総合計36名でした。

参加校は、つくし野小以外は、つくし野天使幼稚園、森村学園でした。




この活動は、つくし野の街(を中心とした地区)に育つ子どもたちが、子供たちの時間にこそ経験すべき様々な体験活動を、小学校や幼稚園の公的活動では実施しにくい内容を優先し、特に環境学習の視点を重視しつつ企画し、実施しています。

主催者は公的助成先から一切の個人報酬を受けていません。勤務先からも一切の補助・評価も受けていません。活動保険を掛けた上、常識的な範囲で、安全安心な活動の実現に努めています。この考えは活動創設の10年前から一切ぶれておらず、今後も変わりません。

参加して下さった皆さん、ありがとうございました。準備や活動を支えて下さった皆さんへの感謝の気持ちを忘れずに!




《おまけ:新しく校庭に付けた巣箱を準備しました》

活動の1週間前、9日土曜日の午後、樋村、平嶋、小池の3名で新しく校庭に付ける巣箱を準備しました。活動の際中は、参加者の支援に忙しく、なかなか新しい巣箱を顧問たちの手で作ることは難しいので、前もって準備しておいたのです。

私は、設計図だけあって実物が用意できていなかったバットボックスと畑で本年度作ったユウガオを利用した巣箱を作りました。

ユウガオは、ヒョウタンとも遠くないウリ科の植物。ぎりぎりまで畑で収穫せずに置いおいたので、皮の厚さは5mm以上。表面にニスを塗り補強する形にして、吊り下げられるようにしました。

欧米では、まさにヒョウタンを利用した巣箱がある事を写真で見ていますが、身近にある色々なものを利用して巣箱は作れるものである事を、実感した時間でした。



樋村さん、平嶋さん、ご支援ありがとうございました。

2 件のコメント:

SYD さんのコメント...

とっても良い体験をさせていただきました。

実は私、鳥には全く興味がありませんでした。
今回の活動も畑かな?と思い込んでいて、直前に内容に気づき、「巣箱かぁ〜・・。しかも、二部制(午前と午後)かぁ〜。長丁場だなぁ・・。」と思いながら出かけたのです。(罰当たりに懺悔)

出かけてみてビックリ。
午前の活動では巣箱にできた小鳥の巣を見ていったのですが、どんな鳥が住んでいたかで巣の形や、材質が違い、それは、おそらく巣箱が設置された向きや高さ、周囲の環境等の条件によることを学び、興奮している自分にビックリなのでした^^

午後は巣箱作り。
私は小学校以来、裁縫も図工も苦手。できるだけ避けて生活してきました。一枚の長い板を測ってノコギリで切ってだなんて無理…。

ですが、始めてみてビックリ。しっかりした図面、工具、サポートの皆様がいてくださり、意外と簡単に立派な巣箱を作ることができたのです。あれ?こんな簡単だった?と感じるのは、すぐに教えてもらえる環境だからですかね⁈
それにしても、自信がつきました!

今まで興味もなかった世界、苦手と思ってやり過ごしてきた物を、こんなに面白いと思えるなんて驚きです。

食わず嫌いせずにやってみるって大事ですね。
毎度ながら、本当にありがたい一日でした。

小池常雄 さんのコメント...

SDYさん
嬉しいメッセージ、ありがとうございます。
一番身近な野生動物の鳥たちは、種類によって性格も習性も、本当に個性豊か。よく観察していると、何を鳴き交わしているか
だんだん分かってくるから不思議です。
身近で彼らの子育てが観察できた時の喜びを繰り返しお話ししましたが、いくらお話ししても十分には伝わりません。
是非、SDYさんの身近に、この春、賑やかで幸せな営巣が行われ、感動の、巣立ちも見られる事を願っています。
書き込みありがとうございました。