次の活動実施予告・実施済の報告


〇第8回定例活動は日程変更し、11月17日日実施済です。
〇第5回特別活動は、10月27日日実施済みです。次回は未定です。

2016/02/21

活動報告 2015年度 第11回 「里山へ行こう! ~春をさがしてハイキング」


文:小池さん
写真:井上さん、岡本さん、小池さん


2月21日(日)に本年度定例11回目(特別活動4回を合わせると15回目)の定例活動を実施しましたので活動報告をします。(小池常雄)


《2015年度第11回定例活動報告》

活動を当初予定していた20日土曜日は終日春の嵐。雨風共に強く、予定していた翌日に、珍しくブログで延期を告知しての活動となりました。それでも心配で、20日の集合時間に指定場所に1人で行きましたが、幸い誰も来ず、ほっとしました。



21日日曜は、午前中は曇っていたものの、活動時間までには晴れ、風は強いものの素晴らしい晴天に恵まれた活動日和となりました。いつものように、三々五々、参加家族が集まってきてくれました。



東門近くの地域全体が見渡せる場所に移動し、活動内容とここから見える範囲でルート、ランドマーク、緑地連なりなどのお話をしました。ここは、計画的に開発・整備された住宅地の向こうに古くからの里山の緑が連なっているのが遠望され、ルートの一部を見渡すことが出来ます。


つくし野地区は、東京都の最南端(島は除く)。東急電鉄が田園都市線を通して多摩丘陵を住宅地として開発した地区と、組織的な開発が行われなかった地区が行政境界できれいに分かれ、開発前のつくし野の姿を感じられる場所に、徒歩でも行ける事をお話ししました。





つくし野ビオトーププロジェクトの活動旗を持つ樋村さんを先頭に活動開始です。



見慣れた駅前を通過し、住宅を抜けていきます。東京都と横浜市の境界部分を説明しました。ここで、「自然探しビンゴ」のシートを子供たちに分け、歩きながら周りの自然を観察して欲しいとお話ししました。



雑木林の中は、雨上がりで空気が湿っていて、明るい日差しが差し込み、とてもいい感じ。昨年7月の活動で来た場所は、クヌギなど高木の広葉樹がすっかり葉を落とし、とても明るく、見違えるほど姿を変えています。

この時期にしか、日差しを浴びることが出来ない中低木の常緑樹は、貴重なこの時期にたくさんの日差しを浴びて幸せそうです。

こうやって、植物も動物も、時間(季節や朝・昼・夜)や空間(高さや場所)をたくさんの種類が分け合って共存し、生態系を形づくり、私たちの暮らしにも「生態系サービス」(ちょっとむずかしいので、また別の活動で細かく説明します)の形で、恩恵をもたらしてくれているというお話をしました。




雑木林を進むと、枯れたクヌギの幹を筒切りして積み上げている場所がありました。こういうものを「エコスタック」といい、枯れた木々が土に帰るのを早めるとともに、生き物たちのすみかにも利用されやすいというお話をしました。

それを説明するために、朽木をひっくり返すと、立派に成長したカブトムシの幼虫が何匹も見つかりました。多くの皆さんが自宅で水槽で育てているカブトムシの幼虫は、自然の中ではこんな風に成長しているのですね…。

(実は、1週間前に平嶋さんと小池で、下見で歩いた時に見つけ、そっともとに戻しておいたのです。)




木の切り株の中に、ヒノキの新しい芽が出ている様を昨年見つけました。今年は、やや数は減っているものの、まだそのまま成長していました。

樹木は、断面の周辺部だけが成長し、中心部分は死んだ組織です。切られて腐りかけたここの部分を土のように利用して成長しているのですが、どこまで成長できるか、ちょっと心配です。




畑として利用されているところでは、カラスウリ、いろいろな野菜、レモンなどが見られました。





金毘羅神社、大石神社、王子神社…といくつも神社を巡りました。こういったいわば宗教的施設はずっと昔から地域の中で守られてきたもので、16世紀のころから変わりません。



王子神社の参道の急階段を降りたところで旧大山道を横断しましたが、ここは活動の最後に配布した昭和14年日本陸軍作成の地図でも描いてあり、昔から変わっていないことがわかります。


大石神社と王子神社では、モミの大木の上に、カラスの巣がある事を今年も確認できました。




王子神社でトイレ休息をした後、246号線を陸橋で渡り、里山道に入っていきます。ペット霊園の前の高台からは、これまで歩いてきたルートの尾根道や神社の森、ランドマークになっているモミの木、再開発ビルなどが見渡せます。

更に天気も回復したので、今年もスカイツリーを見ることが出来ました。




ペット霊園の横を抜け、竹が雑木林に侵入しているところがあります。これは、そもそも中国からの外来種であるモウソウダケが、工芸・建設資材あるいはタケノコ収穫の対象ではなくなって放置された結果、植えられた場所から周辺に侵入しているという、日本全体に見られる姿です。

タケはとても強い植物ですので、かなり強い伐採圧(ばっさいあつ:人の手で継続して切り取る作業を続けること)をかけないと、周辺にどんどん広がってしまいます。

こうなるともう個人の手には負えなくなり、竹が林床を暗くし、豊かであった日本の里山の姿を変え、雑木を枯らしてしまいます。遠目で見ると竹林も豊かな自然、きれいな緑に見えるのですが、実は違います。



本来の雑木林は、多種類の動植物が複雑に関係し合う生態系をつくる、生物多様性に富んだ存在です。しかし、放置された竹林は、密度が高くなりすぎて林床に光が届かず、他の植物を枯らせてしまい、限られた生き物だけが生息できる、とても貧しい、生物多様性に欠けた存在になってしまいます。


そんなことが如実にわかる場所を抜けると、例年集合写真の撮影場所にしているミモザの木があります。とても積雪に弱いので、青竹でたくさん補強してありました。今年は積雪があったので、すでに大きな枝が折れ、よけてありました。

1週間前の下見の時は、まだうす緑色でほとんど咲いていなかったのに、急に黄色い小さなボンボン型の花をたくさん咲かせ、七分咲きといったところでしょうか?



写真を撮りに来ていたアマチュア・カメラマンの女性の邪魔をしないように気を付けて、集合写真を写しました。

ミモザの花は、欧州では3月1日の女性の日に、男性が女性にプレゼントするという風習があり、この時期、街角の花屋さんでたくさん売っているのを見かけます。


尾根道を抜けて歩き進めました。



ほんの数年前まで畑として耕作していた風景が見られたのに、耕作をやめてしまうとあっという間にシノダケが繁茂してしまう状況も見られました。

里山の畑は、人が手を入れていないと、すぐに潜在稙性(せんざいしょくせい:人の手が入らないと、その土地の条件に合う、本来生育に適した特性を持つ種類)の植物におおわれてしまい、あっという間に全く別の景観になってしまいます。



お地蔵さんがありましたが、下見で歩いた1週間前はちょうどバレンタインデーのころ。お供えにチョコレートが備えてあり、笑えましたが、この日はもう無く、別のものがお供えしてありました。お地蔵さんが食べてしまったのかもしれません。(下の写真は1週間前の下見の時のもの)



私たちも高台のクリ畑でちょっとだけお菓子を食べて休息しました。



「馬の背」と呼ばれる尾根道を過ぎると、最近建設された巨大な流通倉庫が現れます。

ここは246号線に面した交差点にあり、流通施設(ロジスティックス)としては絶好の立地ですから、経済の原則からは当たり前のことですが、ここに住んでいた野生の動植物はどこに行ったのだろうかと、心が痛みます。また、廃棄物が積み上げられた場所もあり、これもまたとても心が痛みます。




ここで私は、一足先に自宅に走り、活動のまとめの資材を運びました。

皆がセントラルパークにつくころ、私もなんとか資材を持ってたどり着きました。ブルーシートを敷いて、簡単な飲み物とお菓子を配布。一休みの後、まとめのお話をしました。



つくし野は、普通の里山で畑や雑木林が広がっていた地区に電鉄会社が鉄道を通し、住宅地を開発したことで、横浜のエリアと東京のエリアとでは、県境を境に大きく姿を変えたこと。

そもそもこの地区は多摩丘陵の南端。尾根と谷(谷戸:やと)が細かく入り組んだ地区であったこと。

246号線は近年作られたので直線的で幅も広い。古くからある大山道は細くて曲がっているけれど今も残っていること。

横浜市のエリアも次第に開発が進んでいるけれど、それでも古くからの里山の風景や暮らしが見られるところもあること。

…こんなことをお話ししました。


フットパスのガイド資料、白地図、昭和14年に発行された日本陸軍の手によってつくられた地図を同じ縮尺でトレーシングペーパーにコピーし、重ねられるようにしたものをお分けしました。

ご自宅で、ご家族で、この日歩いたルートを地図の上でたどり、一日を振り返っていただければ…と願っています。

①ルート白地図      ②昭和14年陸軍の地図

③田園都市線・246号線追加   ④尾根・谷を記入 
*地図の説明(地図をクリックすると大きく表示されます)

①はルートを示した白地図です。
10年ほど前のものなので、最新の建物はのっていません。
②の昭和14年の日本陸軍作成のものと比べると変化がよく分かります。

②は、出発地のつくし野小学校と目的地のセントラルパーク、それから横浜線、金比羅神社、大石神社、天王神社、大山道に色をつけたもの。これらは当時からあり、大きくは変わっていないことが分かります。

③しかし、これに田園都市線(青)と国道246号線(緑)を書き加え、県境(水色)を明示すると、この二つと東急の開発によって大きく変わったことが分かります。

④さらに本来の地形がわかる14年の地図に尾根をピンク、谷をブルーで書き加えると、この地区が、もともと尾根と谷によって形成されていたががよく分かります。

ご自宅のエリアが含まれていたら、80年ほど前のご自宅の場所の姿を思い浮かべてみてください。



解散の後、自由参加で、専用畑に最後に残されたキャベツとブロッコリーを収穫しました。

ブロッコリーは暖かくなって花が咲きそうです。キャベツは芯の甘いところをヒヨドリに食われかけています。それであわてて収穫しましたが、それぞれに今日の参加賞になったのであれば、良かったですが…。





今回の参加者数は、
未就学児:2名、1年生:3名、2年生:2名、3年生:0名、4年生:1名、5年生:0名、6年生:0名、中学生:0名、高校生:0名、保護者:8名で、参加者は6家族でした。運営側として、顧問他3名(樋村、井上、小池)、取材者:1名(スクール・アメニティ:岡本さん)でした。子どもの合計:8名、大人の合計:12名の総合計20名でした。参加校は、つくし野小以外は、つくし野天使幼稚園でした。





この活動は、つくし野の街(を中心とした地区)に育つ子どもたちが、子供たちの時間にこそ経験すべき様々な体験活動を、小学校や幼稚園の公的活動では実施しにくい内容を優先し、特に環境学習の視点を重視しつつ企画し、実施しています。主催者は公的助成先から一切の個人報酬を受けていません。勤務先からも一切の補助・評価も受けていません。公的助成金で活動保険を掛けた上、常識的な範囲で、安全安心な活動の実現に努めています。この考えは田村元校長先生が活動を創設された10年前から一切ぶれておらず、今後も変わりません。

参加して下さった皆さん、ありがとうございました。準備や活動を支えて下さった皆さんへの感謝の気持ちを忘れずに!

ご支援いただいた皆様(前週の下見支援の平嶋さんも)、ありがとうございました。

ちなみに、この日、終日の(活動の前後も含む)わたしの活動量は、アイフォンでは、11,710歩、9.33㎞と表示されました。


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