文:小池
写真:小池
編集:平嶋
外来生物について考えたことをご紹介します。(小池常雄)
《タイワンリスのお昼寝》
タイワンリスがお昼寝をしています。
あなたは、この写真を見て「かわいいな?」と思いますか?
写真を写したのは、静岡県浜松市の郊外の私の実家の庭で、3月20日日曜日の午後のこと。
前日の春の大雨があがり、強かった風もおさまり、湿度があがり、うららかな春の陽気に誘われて、タイワンリスが現れたのです。
驚いた私が、高齢になった母に聞くと、平然と「いつもいるよ…。」というのです。どうやら、住み心地が良いらしく、すっかりこの庭に居ついているらしく…。
とくにエサを与えているわけではないのですが…。一度間違って家の中に入ってしまい、騒ぎになったのだそうですが、それでもうまく逃げだして…。そんなことがあっても、よそへ行くことなく、お気に入りの枝で、枝を切ったところにアゴを載せてウトウトしている姿を見せてくれています。
話しを、戻しますが、このタイワンリス君。とても愛らしい姿なので、かわいいなあとあなたは思うでしょうか?
実は、このタイワンリス君、ここに居てはいけない動物なのです。
外来種と言って、ペット用に日本に台湾から連れてこられたものが逃げ出して、次第に暖かくなっている(温暖化)日本の中でも、特に太平洋岸の浜松市に居るのです。関東でも鎌倉市にはたくさんいて、条例でエサを与えることを禁止しているのだそうです。
では、どうして、外来種がいけないのでしょうか?
最近、里山を歩いたときにも、お話ししたのですが、生物は、時間と空間と食べ物を分け合って、世界(環境)をすみ分けている…のです。
生態系は複雑なものですが、生態系は細かいパズルの組合せでできているようなもの。その一つ一つはとても大切なものですが、一つのパズルには2種類の生物は、同時に存在できないという厳しい法則があるのだそうです。
つまり、分け合う空間や時間、食べ物が同じ生物が2種類いるとすると、時間の経過の中で競合(きそいあうこと)が起こり、強い方が勢力を増し、やがては相手方が淘汰(とうた:まけてしまうこと)されてしまうのだそうです。
無論、競合しそうなニホンリスがいるほど、この住宅地の環境は豊かではないのですが、こんなところでも、タイワンリスはしっかりと食べ物とねぐらを見つけて住み着いてしまっているのです。
もちろん、在来種と言われる日本の動植物も、昔、日本にやってきた生き物の子孫たちであり、日本の豊かな動植物は、こういう歴史の積み重ねで成り立っているのですが、この庭で昼寝しているタイワンリス君の祖先は、数十年前?に人の手で、運ばれてきた(たぶん飛行機か船で)もの…というところが問題なのですが…。
人間がこういうことをしなければ、居るはずがない、いてはいけない生き物ということです。
子供たちが大好きな、ミドリガメやアメリカザリガニも外来種であることを、活動の中で繰り返し、お話ししています。
これらは、一度飼いはじめたら、死ぬまで飼い続けなくてはいけない、野山や河川、池に放してはいけない生き物というお話を繰り返ししています。
あたたかで、うららかな春の日差しを浴びて、お昼寝するタイワンリス君の寝顔を見ながら、こんなことを考えました。
最後まで読んでくれて、ありがとう!
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