文:小池
写真:小池、井上、平嶋
編集:平嶋
7月16日(土曜日)午後、本年度特別第4回目の活動を実施しましたので活動報告をします。(小池常雄)
《2016年度第4回定例活動報告》
本年度通算で第8回目の活動です。この日は、前週の活動予定が雨で中止。1週間延期しての活動でした。
しかし、前日も夜半まで小雨が降っていましたので心配しましたが、何とか活動には問題ない天気でした。気温は高くはなりませんでしたが、湿度が高く、熱中症に注意しての活動でした。
10時半から、樋村さん、平嶋さん、井上さん、船崎さんと小池の5名で準備を開始。資材が多く、台車を2台出動させました。
例年、どこでもブランコ、ハンモック(2)、一本ブランコの設営から始めます。とくにどこでもブランコは、今年は2本の木の間に太いロープを渡す方法で設置しました。
のんびり昼食を楽しむ時間はなく、気が付けば集合時間が迫っていました。慌てて平嶋さんと2人で集合場所に向かいました。
集合場所では、もう3-4年生が待っていてくれました。子供だけの参加を許可している4年生の参加が多いのが、6月の活動からの傾向です。順番に参加者が集まってくれ、多くの人数になりました。
この日は、事前に、町田市の環境資源部環境・自然共生課の大久保課長と浅野さんのお二人の見学希望を受けていましたので、ここで落ち合い、ご挨拶させていただきました。
人数が多かったのですし、遅刻して参加する…と連絡があった1家族もいたのですが、全員で徒歩5分ほどの活動場所に移動しました。
森に入る前に、東京都と横浜市の境界が通っている場所を紹介。また、森の入口あたりに生えていたウルシの木を、触るとかぶれてしまってキケン…とお話ししました。ウルシの木はいわゆる陽樹。明るいところでしか育つことができませんので、森の中には生えていません。
活動場所に着くと荷物を下ろして、飲み物を飲んでひと休み。水分補給は大切です。暑い時期は温度湿度計を活動場所に掲示して、活動することにしています。
この日は町田市のお二人が見学に来てくださったこともあり、歓迎の意味で、町田市が2015年5月、ちょうど1年前に策定した「町田生きもの共生プラン」をベースにした10問3択クイズを用意しました。
このプランは「生物多様性 はじめの一歩」と副題がつけられ、2015年から2021年までの町田市としての行動計画・目指してく姿をまとめたものです。
(クリックすると町田市のPDF文書が開きます)
「生物多様性」や「生態系サービス」といった、これからの時代を生きていく子供たちにとって、とても大切なことがまとめられていますが、残念ながら子供用の説明資料にはなっていません。
そこで、私は、私が環境省認定:環境カウンセラー(市民部門・事業者部門)と一級ビオトープ(計画・施工)管理士の認証と資格という専門資格を持っていますので、私なりに子供たちにもわかりやすく、言葉を言い換え、伝える努力をしてみたかったのです。
町田市は、この「プラン」の中で、目指す将来像として「源流から里山、街が織りなす ◯◯◯輝く町田」…という標語を掲げています。この、◯◯◯に入るのは、「みんな」「いのち」「いきもの」のうち、どれか?という問題を出しました。
こたえは、「いのち」だったのですが、できましたか?ちょっとむつかしかったかな??
はじめにそもそもの「生物多様性」という言葉の言い換えを試みました。4つも漢字が並んでいます。生物も多様も性も3、4年生ともなれば読めるけれど、なかなか意味する内容を理解するのは大人でも容易ではありません。
私は「生物」を「いきもの」、「多様」を「いろいろな」、「性」を「みんななかまたち」…と置き換えてみました。
つまり「いろいろないのち、みんななかまたち」…ということになります。
いきものは、一種類として無駄な役に立っていないものはありません。また、多くの生きものが複雑に交わりながら大きな生態系が出来上がっています。その生物多様性には、「環境」「種」「遺伝子」の3つがあります。(詳しくはパンフレットを参照してくださいね!)
この「生物多様性」がもたらしてくれる「環境サービス」は4種類(供給・調整・文化・基盤)に整理されているのですが、私たち日本人はこの「サービス」…という言葉を聞くと、無料のタダのものと理解しがちです。
しかし、中国の空気汚染の例など、これまで当たり前に無料で手に入るものと考えられていた、空気でさえ、タダではなくなりつつあるというお話をしました。
生物多様性を説明することを目的に、身近な作物や生きものでクイズを作りました。「トマト・ナス・ジャガイモ」の3つの野菜のうち、違う仲間を質問しました。
答えは、みんな同じナス科の作物で、ナスのなかまの遺伝子が持つ特徴を品種改良でヒトに有益なものに改良した作物たちです。
「ゴボウ・レタス・キャベツ」の中で、違う仲間を質問しました。ゴボウと答えた人が多かったのではないですか?実はゴボウとレタスは同じキク科の作物。正解は、キャベツでアブラナ科の仲間です。
小学校に海外から転校生が来たら仲良くしなくてはいけませんが、自然界の生物では海外から連れてこられた生きものが多くの問題を引き起こしています。
「アカミミガメ・クサガメ・イシガメ」の3種のうち、なかま外れ(外来種)を問う、質問も出しました。アカミミガメはミドリガメと子供のころは呼ばれ、かわいいのですが、大きくなるとアカミミガメとなり、日本に昔からいるカメたちと競合してしまい、食べ物などを奪ってしまい、大変であるというお話をしました。
町田の身近な外来種として「タヌキ・ハクビシン・アライグマ」のうち、在来種のタヌキのお話や、ハクビシンが私の自宅の庭に現れた時のお話し、アライグマがテレビアニメのおかげで人気が出たものの、実際に飼ってみると気性が荒くとても家庭では飼うことができず、野山に放してしまったものが各地で増えて大きな被害をもたらしている…というお話をしました。
つくし野でも、昔、小学校の横の斜面のあたりに炭焼き窯があり、炭を焼いていたのだそうです。炭の原料のクヌギやコナラはセントラルパークに今も残っていますが、この雑木林にもその痕跡が残っています。
それは「ヤマアラシ」「ヤマカガシ」「ヤマオヤジ」のうち、どれが正解か?という問題も出しましたが、わかりましたか??
最後に、毎年のように紹介するイースター島の悲劇のお話もしました。豊かな森に恵まれて、豊かな文明を誇っていた昔のイースター島ですが、森を切ってしまったおかげで、「船」が作れなくなって漁ができなくなり、「食べ物」がなくなり、そのせいで「戦争」になったのだそうです。
私たちが暮らす、日本は、世界でもまれな恵まれた自然環境にあります。ヨーロッパや中東など、気候が厳しいと一度木を切ってしまうとなかなか回復せず、場合によっては砂漠のようになってしまいます。
それに比べ、日本は雨も降り土壌も豊富にあるので、時間とともに植物が生え、次第次第に森林に回復していきます。これに甘えてしまって、森を粗末にするとイースター島の悲劇のようになってしまうかもしれません。
お話の後は、自由時間としました。
森の中でキケンなのは、スズメバチなのですが、顧問があらかじめテープで危険個所を明示してくださいました。
例年好評の「藍の生葉たたき染め」を平嶋さんが今年もやってくださいました。雑木林の中を子供たちのとんとんという小さな小槌(こづち)の音が響きます。染めに使う葉っぱの枚数を制限したこともあり、素敵なエコバックができました。
例年通り「一本ブランコ」は人気でした。活動時間中、順番待ちの列は途切れませんでした。
「どこでもブランコ」も「ハンモック」も例年通りの人気でした。
私はその場にいなかったのですが、4年生??が、朽木の倒木を掘り出して幼虫を見つけたようです。私は、幼虫だけ見せられたので、「時期から考えてもう、カブトムシの幼虫ではないので、クワガタの幼虫かな?」…と答えたのですが…。
連れて帰って飼うのならよいのですが、こういう朽木を食べるタイプの幼虫を買うのはなかなか容易ではありません。(飼育ビンでできますが、エサや湿度管理がむつかしいのです。)
一方でカブトムシの幼虫は、卵を産ませるのも、幼虫から育てるのも、比較的容易にすることができます。むやみにほじりだしては、もとのエサのあった環境に戻ることはできません。
生きものの扱いとして、注意すべきであったと、後でことの顛末を聞いて思いました。
自由時間も長くなったので、集合写真を写しました。
その際、この日のゲストであった町田市の環境資源部環境・自然課の大久保課長にご挨拶いただくとともに、町田市が作った「町田生きもの共生プラン」概要版を1家族に1冊ずつプレゼントしていただくことができました。1冊あたり161円を要している、リサイクル適性◎Aと書かれていることが、今どきの行政の出版物らしいと感じました。
解散した後も、なかなか帰宅しがたいこどもたちも多く、子供たちの声が雑木林の中に響いていました。意外につくし野に近い場所に残っている雑木林ですが、子供たちだけで遊ぶ姿を見ることは、ほとんどありません。
冷房の効いた快適な自宅で、TVゲームでもして過ごしているほうが楽しい…と思う子供たちが増えているのでしょうが、生物多様性や生態系サービスを学ぶのには最高の素材といってもよいのが雑木林です。
また、ご家族でも出かけてくださるとうれしいです。でも、昆虫や植物を採りすぎないことや、ゴミを残さないなどのマナーを守ってくださいね!
今回の参加者数は、 未就学児:6名、1年生:5名、2年生:6名、3年生:7名、4年生:7名、5年生:0名、6年生:0名、中学生1名。高校生0名、保護者:21名で、参加者は53名でした。
市役所から2名、スクールアメニティ誌より岡本さん、運営側として、顧問他5名(井上、平嶋、樋村、船崎、小池)でした。
子どもの合計:32名、大人の合計:29名の総合計61名でした。
以上です。
《おまけ:高見元久顧問から昆虫などの写真を送っていただきました》
顧問の高見元久さんは、お仕事で関西地区に単身赴任中です。
それで、環境コンサルタントのお仕事ゆえに、森や雑木林の環境調査をする傍ら、いろいろな生き物に合うのだそうで、その写真を送ってくださいます。
ゾウムシ、ミンミンゼミ、ナナフシモドキ、クロアゲハ、ノコギリクワガタ、ムカデ、センチコガネ、などなどです。場所は関西地区ですので、私たちが住む関東とは、発生する時期も種類も、少し異なっています。
これは、アナグマ。在来種です。
外傷は見当たらなかったけれど、どうやら交通事故で死んでしまったようだとのこと。かわいい姿をしているゆえに、連れて帰りたくなった…というのは、高見さんの言葉です。
この暑い時期に、屋外が多いお仕事とのこと。また元気なお姿で、活動に来てくださり、面白いお話を聞かせてくださることを楽しみにしています。
以上です。
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