文・写真: 長岡顧問
今年もプール掃除の時期がきましたので、6月11日(土)の午後に恒例の「プールからヤゴを救出しよう」を行いました。
今年は目に見えない放射能による影響が報道されている状況ですので、プールに入ってのヤゴ採りを保護者、プールサイドでのヤゴの分類を児童としての募集でしたが、1年生〜6年生の22人の児童、2名の幼児、17名の保護者及び9名のスタッフの方々に参加していただけました。
当日の開始時は午前からの雨が残っていましたので、室内で田村前校長先生による笹舟作り教室から始めました。
田村先生の準備された笹を使って、児童と保護者が短時間で上手に笹舟を作れるようになりました。
まだ雨が続いていましたので室内でそのまま「プールからヤゴを救出しよう」の準備開始です。今年の活動は「チーム ヤンマ」「チーム アカトンボ」「チーム イトトンボ」3つのグループに分かれて行うことにしました。「チーム ヤンマ」「チーム アカトンボ」のリーダーは6年生、「チーム イトトンボ」のリーダーは4年生と卒業生のみどりお姉さんでした。
最初に手袋とマスクの着け方の練習です。慣れるため、そのままヤゴとトンボの種類について写真で勉強しクイズを行いました。

ヤゴとトンボの足と羽の数、トンボの名前、卵の産み方、ヤゴの形とトンボの種類、トンボが大きくなるか、トンボの卵の数、ヤゴのエサの捕まえ方について合計10問のクイズでしたが、それぞれのチームはみんな優秀で7から8問の正解でした。
クイズで盛り上がっている間に雨が上がりました。プールに移動前に、ヤゴの種類と数を予想することにしました。
予想のためにチームに説明したデータです:
- トンボの卵の産み方
- アカトンボ、シオカラトンボ
- ちょくせつ水面に産みます。
- イトトンボ、ヤンマ
- 水草のくきの中など、植物の中に産み付けます。
これまで、どんなヤゴがいた?
ビオトープでのヤゴ救出は今年で6年目。これまでは、どんなヤゴがいたでしょうか。
ヤゴの種類 | アカトンボ類 | シオカラトンボ類 | イトトンボ | ヤンマ |
2006年6月 | 記録なし |
2006年 秋 | 落ち葉を集めてプールに投げ込んだそうです |
2007年6月 | いた | いた | いた? | 0 |
2007年 秋 | なにもしませんでした。自然に飛んできた落ち葉のみ。 |
2008年6月 | 528 | 0 | 0 | 0 |
2008年10月11日 | 水面にあみをはって、草とわらを投げ込み、水面にうかせました。 |
2009年6月7日 | 1770 | 1 | 2 | 2 |
2009年9月19日 | 水面にあみをはって、草を投げ込みました。 |
2010年6月5日 | 379 | 0 | 0 | 1277 |
2008年: | 前年秋何もせず | ⇒ アカトンボ528匹、ヤンマ0匹 |
2009年: | 前年10月に草と藁 | ⇒ アカトンボ増加1770匹、ヤンマ2匹 |
2010年: | 前年 9月に草 | ⇒ アカトンボ減少、ヤンマ増加1277匹 |
今年 : | 前年 10月に草 | ⇒ |
各チームで今年はどのヤゴが一番多いか話合いチーム毎に発表しました。すべてのチームの予想は今年もヤンマが一番多いでした。保護者やスタッフの方々もヤンマが多いとの回答が多いようでした。草を入れる時期に着目しなかったようです。結果は最後に。
いよいよプールでの活動開始です。小澤校長先生に事前の準備をお願いしました。ヤゴ採りがしやすいように1週間前から水抜きを始め、水深が30cm程度になっています。また、網と草が乾かないように、水抜きの前に網を水中に沈めてあります。

また、今年はプールの水を持ち出さないように事前にバケツにくみ置きの水を準備していただき、分類や持ち帰りにはその水を使いました。
まず、保護者の方とスタッフに草の入ったまま網をプールサイドに上げてもらいました。

網の中の草と プールの底のヤゴを採ってもらい、プールサイドの児童「チーム ヤンマ」「チーム アカトンボ」「チーム イトトンボ」に渡してもらいました。
ヤゴを受け取った児童は、各チームのリーダーを中心にヤゴを分類し数をかぞえてもらいました。

どうも今年はヤンマがいないようで。
かなり多くのアカトンボ類がいるようです。準備した多くのバットがヤゴでいっぱいになっていきます。

約1時間半でヤゴ採取、分類、数かぞえを終えて、プールでの最後は恒例の田村前校長先生のルアーフィッシングの演技です。
室内にもどり、チーム毎にヤゴの種類と数を発表してもらいました。
今年の結果です。
ヤゴの種類 | アカトンボ類 | シオカラトンボ類 | イトトンボ | ヤンマ |
2011年6月11日 | 9012 | 0 | 0 | 0 |
前年に草を入れていたのにヤンマはいませんでした。アカトンボ類は予想を大きく上回る数で過去最高記録9012匹でした。
ヤゴ以外には、多くのヒメアメンボ、アメンボ、コミズムシ、コマツムシ、フタバカゲロウ、アカムシがいました。
多くのアカトンボ類のヤゴが採れたので、飼育方法を説明した後、希望者には自宅で飼育してもらうことにしました。
残った多くのヤゴは、トンボ池に放しました。

以上で、今年の「プールからヤゴを救出しよう」は終了です。
さて、今年の結果をこれまでの結果と合わせて考えるとどう解釈できるでしょうか。
- 前年秋にプールに草を入れない場合には水草の茎に卵を産むヤンマが見つからない。
- 9月に草を入れた場合には多くのヤンマが見つかる。しかし、10月に草を入れた場合にはヤンマの数はわずかもしくは見つからない。
- ヤゴの種類と数は前年の状態に影響される。
これが本当に正しいか、今年の9月に同じ方法で草を入れ、来年多くのヤンマが見つかればほぼ間違いないと言えそうです。
では、今年に近い条件の一昨年2009年と比べて今年のアカトンボ類の数が著しく増えたのはなぜでしょうか。
ビオトープのホームページにこれまでの結果と解説を載せています。この中にヒントがあります。色々な解釈ができると思いますので、お子さんと考えてみてください。2010年の夏から秋、2008年の夏から秋、何か違いはありませんでしたか?
それにしても、なぜここまでヤゴの数が増えたのでしょうか。毎回説明していますが、ヤゴはプールでは食物連鎖の最上位の生き物でヤゴを食べる生物はいません。これが自然の池や小川だった場合には、魚やカエルなどがヤンマを餌としているはずです。やはり、プールは自然ではありません。参加した児童が自宅にヤゴを持ち帰りましたが、9000匹近いアカトンボ類のヤゴが残りました。これだけのヤゴを自然の池や川に放すことはできませんので、トンボ池に大部分を放しました。ただ、今年はトンボ池もかなり過密な状態になってしまいました。今年は、トンボ池での羽化を確認しやすくするために、5月に脱皮用の足場を作ってあります。羽化するトンボが見られるといいですね。
最後に、自宅に持ち帰ったヤゴが2日後に羽化してトンボになりました。足場を輪ゴムで補強する前でしたが羽化に成功しました。うまく写真を採ることができましたので、合わせて報告します。
脱皮後、腹部の体液を使って羽を伸ばし、不要な体液は排出している(ペットボトルについている水滴)のが判りますか。翌朝、元気に飛び立っていきました。ヤンマに比べると飼育が簡単でした。来年も楽しみですね。