次の活動実施予告・実施済の報告


◎2024年度もつくし野ビオトーププロジェクトを実施します。
〇第1回定例活動は4月20日土専用畑で年間プログラムの発表や新キャベツと「?」の収穫体験などです。希望者にカブトムシの幼虫配布もします。
〇 第1回特別活動は、実施日・内容ともに未定です。

2017/07/17

話題:カルガモがつくし野の住宅で営巣!

なんと!カルガモがつくし野の住宅で営巣!


4月23日のこと…。
いつも活動にご家族で参加してくださるSくんのお母さんから連絡をいただきました。
「自宅の入り口の植え込みで、大きいトリが卵を温めているようなのですが、なんという種類の鳥でしょう?カモのような気がするのですが…。」
私は、つくし野に住んでそろそろ4半世紀(25年のこと)で、何種類も住宅地の中で営巣するトリを観察していますが、そんな種類は思い当たりません。そもそもカモの仲間は水辺の野鳥。つくし野には川や池、沼など、大きな水辺はありません。(殿山公園に小さな沼がありますが…)
Sさんのご自宅は、つくし野駅のすぐ近く。そんなことがあるだろうかと疑問に思っていたのですが…。
最初に送っていただいた上の2枚の写真では、植栽に隠れてなかなか姿がはっきりわかりません。
「親鳥の写真が写せたら送って下さい。」…とお願いしたところ、「ようやく写せました。」…と送ってくださったのがこの写真。
全体の大きさ形・色そして何よりもそのくちばしの形と先っちょの黄色い色!
カルガモです!
カルガモは、関東でも比較的よくみかける種類。
留鳥(りゅうちょう)…と言って、渡りをせず、1年中、日本にとどまって暮らしているトリです。つくし野近辺でも、自然度の高い場所や境川など、水辺で時々見かけます。しかし営巣した佐藤さんの家は、つくし野駅すぐそば。水辺などありません。
卵を温めている間は、猫やカラスなどの天敵に注意してやればいいのでしょうが、卵がかえった後、ヒナは空を飛べません。
一体子育ては、どこでどうやってやろうというのでしょうか?
Sさんのご自宅を訪ねると、確かに本当に小さな植え込みに設けられている郵便ポストにそれらしい姿が見えます。驚かさないようにそっと近づくと、じっと親鳥はこちらを向いています。さらに近づくと「シャー」という、威嚇の音を出して、「それ以上近づかないで!」…とはっきり意思表示をします。
この勢いには猫などはおじけづくだろうとも思います。

日本野鳥の会が、会のHPでアドレスを公開している相談コーナーに連絡を取ってみたところ、「地図を見ると恩田川まで移動するのではないか?」…とのお返事。
でも、つくし野に住んでいる私としては、どう考えてみても人間の大人の足でも、恩田川まで歩こうなどという気持ちにはなかなかなりません。
ましてや卵からかえったばかりの小さなよちよち歩きのヒナが、人口の多い町田市南部の、交通量の多い幹線道路をいくつも横断して、恩田川まで歩くことなど、到底想像できません。
そこで考えたのは、巣から6mの道路を挟んで広がるテニスコートの横のミカン畑。
ここは、つくし野の中心部に残った貴重な緑地帯。
畑ですが、果樹園なので滅多に人は入りません。
子育てのカルガモ親子が天敵で怖いのは人ではなく、猫とカラスではないかと考え、隠れ場所を作りたくなりました。
そこで、ミカン畑の所有者のNさんに連絡を取り、カルガモが営巣していること、移動して子育てをするのではないかと思うこと、隠れ場を作らせてほしいことをお伝えしました。
快く、お許しが得られましたので、Sさんの父子と私の3人でミカンの木の下に園芸資材のトレーと麻縄、稲わらで簡単な避難場所を作りました。
S君の手で、板切れに「かるがもさんのおうち」…と看板?まで作りました。

カルガモのみならず、鳥は種類によって、抱卵を始めてから羽化するまでの日数はかなり正確にわかっています。産み落とされるのは、1日ではなく、日が分かれるのですが、親鳥が温め始めてから卵の中で成長が始まり、羽化するのはほぼ同じタイミングになるのです。

それで、Sさんの奥さんに初めて見つけた日をお教えいただき、それから逆算して、羽化の日を心待ちにすることにしました。(カルガモは26~28日で孵るのだそうです。)
それで、時々、そろそろではないかとSさんに問い合わせをしたのですが、「まだのようです…。」とのお返事ばかり…。そもそもいつから営巣していたのか、気が付くまでに何日かかっていたのかわかりませんから…。
心待ちにする日が続きました。

「とうとう羽化しました!」と連絡をいただいたのは、5月23日のこと。
(日数がややずれているのは、温め始めた日がよくわからないからと推察できます。)
写真を送っていただいたのですが、かわいいヒナが2匹映っています。数日はそのまま巣の中にとどまるのか?と思っていましたら、意外にすぐ、居なくなってしまったようです。
「もうしばらくかわいいヒナの姿を見ていたかった…。」というのがSさんの言葉。


でもそのすぐあと、姿を消してしまい、いったいどこに行ったのか、わかりません。
ミカン畑の中を探してみたのですが、広いし、隠れる場所も少なくないので、どこかに隠れていたのかもしれませんが、無理に探すのは止め、そっとしておくことにしました。

結局、カルガモは間違いなく卵を産み、2匹は羽化したことは確かですが、その後はようとして消息はしれません。

今ごろどこかで、大きく育って、元気にいてくれればよいのですが、自然界にはなかなか厳しいおきてがまっています・・・。
カルガモは、資料によれば、孵化してから飛べるようになるまで、2か月かかるということで、7月末にならないと飛べないはずです。
シジュウカラが、孵化から2週ほどで何とか飛べるようになるのに比べて、4倍以上の時間がかかるということです。
これは、体が大きいので無理からぬことでもあるのですが・・・。
飛べない間が、天敵に襲われやすく一番危険な時間。
普通はカルガモが水辺で子育てして、天敵から襲われにくい状況で子育てする理由もわかります。
幸いな、その後を願わずにはいられません。

さてその後、Sさんのお許しをいただいて、巣のあったところを確認しました。
教材として巣を回収して保存しようと思ったのです。
巣は、自然の素材(草やコケ)を集めたシジュウカラやスズメなどとは違い、自分の体の羽毛を集めたもの。
腹のあたりの羽根を自分で取り、肌を露出させ、卵を自分の体温で温めると聞いたことがあります。
羽毛は、ふわふわで大きいのですが重さはほとんど感じません。
考えてみれば冬の衣類に使われるダウンは、カモの仲間を家禽(かきん:人が育てやすいように改良した動物)のアヒルの羽毛ですから、温かく軽いのもわかります。自分のお腹のあたりの羽毛をむしって巣を作るのでしょう。
巣の底を探ると、羽化しなかった卵のまま死んでしまったものが3つ残されていました。母鳥は5個の卵を産んだことになります。
ニワトリの卵であれば、Ⅿサイズか、MSサイズといったところでしょうか?
意外に大きく、重く感じました。
つくし野に住み、気を付けていると、住宅地の中でも意外なほど様々な野生の生き物に接します。
私は、生きものついては関心が高く、知識もあったつもりですが、さすがに今回のカルガモの住宅地の中での営巣は驚きました。
シジュウカラは、天敵のカラスから逃れるため、わざとヒトのそばに営巣する(敵の敵は味方。つまり天敵であるカラスの敵はヒト。ということはシジュウカラにとってはヒトは味方)…と毎年の巣箱づくりの活動でお話していますが、カルガモもそうなのかもしれません。

野生の生き物は思った以上に賢く、柔軟に生態を変えるものもいます。
来年もまた、同じようなことが起こるか、楽しみです。
文章:小池常雄
縦位置のカルガモの写真:SSさん
カルガモさんのおうち制作:S君とお父さん、小池
そのほかの写真:小池常雄
ブログ編集:小池常雄

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