創立136年 在校生223名 豊かな自然環境
5月2日金、以前横浜市立恩田小の恩田池改修などの活動の際お世話になったF校長先生から、この春異動で新治小の校長になった…とご連絡を頂き、学習用に譲渡の御要望があったカブトムシの幼虫6匹をお土産に訪問。
校内に案内いただくと、最初に目につくのは大きな水槽と身近な生きものの掲示物。
大きなアブラハヤなどが飼育され、管理状態もいい。
校地が梅田川などの小河川に接しているため、様々な生き物が校庭内外に棲息。こういう身近な生きものの掲示は、小川小にもつくし野小にも恩田小にもないのではないか?
身近な環境や生きものに触れ合う、稲作や畑作をするなどの活動は地元の各種活動団体によって構成されている梅田川水辺の楽校協議会などの支援を受けている…との事。
身近な環境や生きものに触れ合う、稲作や畑作をするなどの活動は地元の各種活動団体によって構成されている梅田川水辺の楽校協議会などの支援を受けている…との事。
「梅田川水辺の楽校協議会」という複数の団体で小学校の支援も受けているのだそうで、なかなか素晴らしいこと。
名ばかり立派で何をやっているのか?わからないような活動もあるけれど、ここはとても具体的、組織的。

通していただいた校長室の窓はこんな感じ。
小河川を挟んだ先の自然の森が窓一面に広がる…というぜいたくな姿。

校長室で新治小の概要をお聞きし、当方からは活動の近況などをご説明し活動関連資料を差し上げたの後、先生自ら同行して校庭をぐるりとご案内いただき…。
校舎の南側に流れる梅田川との間にはこんな湿地型ビオトープ的な池が設置されている。
校舎自体の建築計画的計画は建設当時としてはなかなか先端的な計画がされているものの、ここは建設当時の考えで設けられ、そのままの形が維持されている。
即ち、平面は直角、断面は垂直水平だけで構成されており、なだらかに複数の異なった環境が繋がるエコトーン(推移帯)が無く、区画された相互の環境をつなげる考え方が見られないのが惜しまれる。
当時としては一般的なものだけれど、設計者としてはXY軸で定規で描きやすいけれど、自然界の姿ではなく。
この環境はそもそも自然豊かな物。
自然物との対比でこのデザイン…と言うのは分かるけれど…
管理はしやすいけれど、生物多様性は少なく、生き物の姿は…。
水田に使われていたのでは?と思わせる土の状況。ここを水田にしてもいいのでは?
そもそもイネはこういう湿地に生息していた植物を栽培種に改良したものだし…。
水の流れが意識され、循環させる考えだったようだけれど、従来型の組石による構成と造園的な構成になっているのが惜しまれる。
自然発生?したガマの原に、一本の枯れ木が横たわっていることろが、一部だけれど環境の多様性を生じさせている。
トンボがとまってひなたぼっこしたり、トカゲが日向ぼっこをして体温をあげたり…いろいろな情景が思い浮かべられる。
水の流れ出し部分。今は、ガマが均一に地表を覆っている。
もう少し、変化を付け、植栽などの多様性を導入し、環境の多様性を生じさせれば、すぐ近くの森や川から多様な生物がすぐにやってくるのでは?
例のごとく飼育小屋は使われていない。
身の回りの環境や自然に対する意識、考え方は、近年大きく変化している。
この建物が計画された昭和50年代後半には、そもそもビオトープの概念など産まれておらず、石組など、日本の伝統的な作庭の考えで構築されている。
施設そのものを改修することは、予算がたくさん必要になるし、大変だけれど、既存の施設を利用しながら扱いを変えると、環境の多様性を呼びこむことができ、生物多様性も生じる。
これの実例としては、昨年度の小川小の放置されていた池の湿地型ビオトープへの改修が実績としてあるのだけれど…。
ピアノのような楽器でも時間が経過すれば音程に変化が生じ、チューニングが必要になる。
以前改修設計を担当した東京芸術劇場も、劇場も時間と共に改修…という名前のチューニングが必要になる…なんていう議論をしたことが記憶に残る。
学校校庭も、長い時間の経過により、当初の設計思想では時代の変化によるニーズに対応できていない部分も生じてしまうのではないか?
費用を要さないでも、支援してくれる人たちがいれば、より豊かな環境に変化させていける可能性を大きく秘めているように思う。
校地は梅田川や深い森が2段の遊歩道を介して接している…という何ともうらやましい環境。
公有地との斜面も多自然型のブロックで構築されていて、横浜市の先端的な考え方が反映されているのが分かる。
水飲み場の横のトロ箱が、草盆栽になっている。これもまた立派なミニビオトープ。

そもそもこの学校は2階建て。
校庭の広さに対して在校生は少なく、とても余裕がある。
聞けば以前は同一敷地内に特別支援学校が併設されており、その施設が残っているので体育館などはとても余裕があるとの事。
[西側に広がる校庭の向こうに住宅や里山、ビジターセンターが広がる] |
校庭を経て西方向を見れば、いつも写真を写しに行く新治市民の森のビジターセンターが…
最近も紹介した鯉のぼりが小雨の中を泳いでる。
いつも展示物を写しに行く旧奥津邸の長屋門も見える。
136年の歴史があるだけに校庭各所には石碑などが…
明治6年から始まる学校の歴史そもそもこの学校は2階建て。
昭和59年の建設にしては、光庭のはたらきをする中庭を教室が取り囲んだ構成。
オープンスクールの考えを横浜市立小学校で最初に取り入れて計画された…との事で、なかなか斬新。
天井も木板で構成される天井の内装やレベル差の少ない昇降口など、なかなか見どころが多い。
授業の真っ最中で教室が見られなかったのが残念。
光庭のはたらきをする中庭と木板の天井。



光庭のはたらきをする中庭と木板の天井。
レベル差がない昇降口
創建時からの歴代の校舎の航空写真が階段に掲示。
横浜市の小学校の中では、自然環境に最も恵まれている小学校では?
そもそも「新治」という地名は、新しく開発・開墾された場所という意味とか、、。
在校生は少ないけれど、歴史があるのは昔からこの地にヒトが暮らしていた…と言うこと。
校地の周辺に水田や畑地が残されていることが良くわかる。6年生が学習用に飼育したい…と言うのでカブトムシの幼虫をプレゼント。
何かの形でコラボできればよいのだけれど…
文章:小池常雄
写真: 同
撮影日:20250502
撮影場所:横浜市立新治小学校
編集:小池
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