次の活動実施予告・実施済の報告


〇第2回定例活動は5月11日土と予告していましたが、サツマイモ苗入手の都合で5月19日日専用畑で実施に変更します。
〇 第1回特別活動は、5月5日日こどもの日午後実施しました。

2022/08/23

井の頭公園 カイボリ(その1:ザリガニ駆除編)

   カイボリって 何?   
カイボリは、「掻い掘り」と書く。
テレ東の番組「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」で、広く認識されたけれど、そもそも日本の池・堀などの伝統的な管理方法。
8月20日土朝、「かいぼりによる影響」の見学会があると聞き、生き物・植物と環境とのかかわりの勉強で井の頭公園まで遠征。
下記は東京都建設局のHPと案内パンフレットは以下。
ウイキペディア先生によれば…(一部省略)
「(かいぼり)は、池や沼の水をくみ出して泥をさらい、魚などの生物を獲り、天日に干すことである。換え掘り(かえぼり)、換え乾し(かえぼし)、池干し、泥流しなどのよび方もある。
農業用のため池を維持するために行われてきた、日本の伝統的な管理方法である。 
稲作が終わる晩秋から早春にかけての農閑期に、池の水を抜き天日に干し、堆積したヘドロや土砂を取り除いて肥料にし、獲った魚を利用してきた。
栄養塩類を含んだ泥や水を排出し、また池の底を空気にさらして微生物による分解を促進することで、水質を浄化する効果がある。
現在は、農業目的の他に、水質改善や、外来生物駆除のための掻い掘りが、各地で行われている。
絶滅したと思われていた水生植物が、掻い掘りによって数十年ぶりに復活した事象も報告されている。」
テレビ番組では、宝探し(ゴミも含めて)のような部分と外来種駆除が一般の人には印象が残ったけれど、本来は、ごみ掃除や天日干しで浄化することで環境を整え、水質を良くし、在来生物の再生を目指すなど目的で行われるのがカイボリ…という作業。
特に古い歴史がある井の頭公園は、近年何回かのかいぼりを行い、大きく池の環境が変わったことで知られる。
この観察会は、毎月テーマを変えて行われているとの事で、都主催の形だけれど、実際の運営はボランティアの公募で選ばれた「かいぼり隊」というボランティア団体とNPO法人生態工房が案内役。
参加費はなく、保険料として30円/人を集金。
われわれの活動も3万円・年/1000人・年=30円/回・人で同じなので妙に納得。
「子供連れの親子」「やや若い大人だけ」「残りは高齢者(?)」…と3班に分かれ、それぞれにふさわしい解説者が付いて、園内を見学。
最初に、水辺の深さによる名称が手づくり資料で、共通事項として説明。
この断面図は、ビオトープ管理士資格試験などで出題されるので、私もよく知っており。
井の頭公園の多くの岸が、従来の整備方法である池底から垂直に立ち上がった壁(かみそり護岸なんて呼ばれる)による方法であったものから、上の断面図のように、徐々に水深が変わる浅場・湿地が生き物の生息にとって大切な環境なので、この状態を池の周辺の一部だけれど、再現し作って整備しているとのこと。
こういう部分は、エコトーン(ecotone)・推移帯・移行帯と呼ばれるもの。
(注)エコトーン:生態学において、陸域と水域、森林と草原など、異なる環境が連続的に推移して接している場所。一般に、生物の多様性が高いことで知られる。
説明によれば、かいぼりで、外来種のアカミミガメやブラックバスなどは駆除できたけれど、アメリカザリガニはなかなか駆除できないので、ワナをあちこちに仕掛け、駆除に努めているけれど、なかなか減らないとの事。
アメリカザリガニがかいぼりで駆除できないのは、水を抜かれても池底の泥の中に穴を掘って潜んで生き延びられるから…。
泥を掘れば水が出て息ができるし、悪食でなんでも食べるから、水が戻されればすぐに回復してしまう。

「かいぼり隊」というボランティア団体の人たちがバス釣り用だろう大きな浮き輪に乗って駆除作業している様子が興味深く。
「池男(イケメン)&池女(イケガール)」と自称して活動しておられるらしいけれど、何のことなく私と同じくらいの年齢のメンバーも多く。
大事な休日、土曜日朝からこんなボランティアをするのは大変な事。
見た目涼しげだけれど、たぶんかなり蒸し暑いはず。
これは私がやっている農作業も同じ。眺めているのとやってみるのとは大違い。
池の中のあちこちに、ザリガニ用の罠が仕掛けられており、なんとちいさなプラスチックの密閉容器に穴をあけ、中に入れたドッグフードのエサで呼び集めるのだそうで…。
ドライフードなので、扱いがしやすく、価格が安く…最適らしく。
これが何種類かあるワナ。
駆除したザリガニは小さめのバケツに集めている様子。
橋の上から、「バケツの中をみせてくださ~~い!」と声をかけ、見せてもらったのがこんな感じ。
おお!大漁。
良い型個体がこんなにたくさん。
掲示があってよく見ると。。。
2014年から駆除を開始。2020年は5396匹2021年度は7367匹を駆除したとか…。
ワナの数は、何と171基。
なかなか絶滅させることは容易ではないけれど、増えるのを抑制する効果はあるのでは?…とのこと。
フレンチでは高級食材なので、食べるのですか?とお聞きすると、埋めて処分してしまうのだそうで…。
池には、アオサギやカワウ、カワセミなど、ザリガニが大好物な鳥類も沢山いるから、逃げ出さないような工夫をすれば、命の循環につながるえさ場ができないか?
公園近くにあるレストランで、フレンチでだしたら???と夢想し…。
外来種を食べて駆除する人気番組に紹介してあげたくなり…。
(この番組の企画会社に知人がいるので…)
上の写真は、アカミミガメ用のトラップ、
甲羅干しをしようとして左側のスロープを上ったカメが平たい場所で陽を浴びようとするとぱたんと内側に倒れて落ちる仕組み。
内側には登るスロープがないので、一度内側に落ちた個体は上に上がれず生け捕りに…。
時々チェックされ、在来種は放免され、アカミミガメは御用(捕殺)になるというわけ。
上の写真は、外来種のコカナダモを駆除している状況。
2019年からとても目に付くようになったのだそうで、在来種のツツイトモの群生を復活させるためにも、コカナダモの駆除作戦をしているのだそう。
ちなみにこの辺りの水深は、1.7mほど。
作業している人たちの足には大きなフィンがつけてありました。
その2では、「帰ってきた生きもの編」を予定しています。
文章:小池常雄
写真:   同
撮影地:井の頭公園
撮影日:20220820
ブログ編集:小池常雄

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