次の活動実施予告・実施済の報告


〇第8回定例活動は日程変更し、11月17日日実施済です。
〇第5回特別活動は、10月27日日実施済みです。次回は未定です。

2023/07/06

フィンランド通信:11(手を出すべきか?出さざるべきか?)

    巣から落ちたヒナ?

「愛犬マルの散歩中、巣から落ちたと思しき野鳥の雛を見つけて保護したのでご連絡します
ネットで調べると、クロウタドリというヨーロッパの3鳴鳥の一つらしく。
どおりで雛とはいえ聞いていて心地よいさえずりです
餌には庭を掘り起こして見つけたミミズと、たまたま家にあった成鳥用の餌を小さく砕いて水でとかして与えると、元気になり巣箱から飛び出そうな勢いです。
巣箱は手持ちの段ボールに、落ち葉を敷いて作りました。
時に雛を庭に出してやりながら2日程過ごしました。
庭を掘ってミミズを探すことに限界を感じて、店に釣り餌用のミルワームを探しに行ってみるか、と思い始めたその矢先、そういえばついさっきまで聞こえていた鳴き声が聞こえないことに気づきました。
巣箱を覗くと居ない…周りに落ちてないか、と探すも見当たらず、
巣箱が荒らされた様子もないので襲われた訳でもなさそうです。

確かに前日も箱から飛び出さんばかりの元気だったので巣立ちの時期だったのかなぁ、と期待を込めて思っています

突然始まった雛の飼育は、こうして突然終わりました。」

YMさん、お便りと写真、ありがとうございました。
続いて、Mさんご主人から以下のメッセージをいただきました。

こちら(フィンランド)でも私の行動は褒められたものかどうかわかりません。
今回は、(愛犬)マルが見つけて噛んだり足蹴にしたりしそうだったので保護しましたが、
普通は、そのまま放置でしょう。
今回の件のあと目につくようになったのですが、
結構森の中に雛が落ちて死んでいたりします
これが自然の営みで小池さん(からの返信にあったことば「今回のMさんの対応も…)
「一理ある」もそういう事と思っております。
こちら(フィンランド)では良くも悪くも自然に(他人にも)関与しすぎない、というか、ありのままを受け入れるので、野ウサギが庭の木の実を食べようが、蜂が屋根裏に巣を作ろうが、何もせず。
こういう感じなので野生動物も人と適当な距離を保ちながら身近に居られるのかと思います。
昨日、湖の周りを散歩していたら、
先日写真をお送りした鴨一家が、湖で泳ぐ子供達から1mくらいのところを悠々と泳いでいました。

自然や野生のいきものとの関りは、国によっても、時代によっても変化し、
野生生物の生態に関する研究の進歩によっても大きく変わります。
法律や規則の類も、大きく異なります。

実は、今シーズンも「つくし野パークストリートにヒナが落ちているがどうしたらいいか?」と、いつも活動に来てくれるNさんから私宛に問い合わせがありました。
私のからの答えは、
「触ってはいけない。そのままに…。」というものでした。

日本とフィンランドでは、法律も制度も自然とのかかわり方も大きく異なるので、
フィンランドのお便りの対応とは異なるのですが…。

①日本では、許可を得ない限り、野鳥を飼育することは法律で許されていない。
・野鳥は、その捕獲・飼養は
 「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」により厳しく規制されています。
ほんの20年くらい前まで、森村の森でメジロを捕獲していた人を見つけて驚いたことがあります。
・鳥獣保護管理法での罰則は以下です。
 違法な捕獲→1年以下の懲役または100万円以下の罰金
 違法に捕獲した野鳥の飼養
 違法に捕獲した野鳥の販売等のための譲り受け・譲り渡し等
  →6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

②各自治体や鳥類保護関連の団体が、ヒナを拾わないで…と呼びかけている。

上記、3番目の千葉県のHPの一部を転記すると(一部調整)
「巣立ちビナの時期にヒナが学ぶこと
 巣立ちビナは、巣だった後もしばらくは親鳥と一緒にいて、
 様々なことを学びながら一人前になっていきます。
・飛び方:最初から上手に長い距離を飛べるわけではありません。
・エサのとり方:巣立ち後もなおしばらくの間は、親鳥からエサをもらいながら、 
・食べられるものを学習していきます。
・仲間とのコミュニケーション
・外敵からの身の守り方

私たちが、いくら上手に巣立ちビナを育てたところで、親鳥に代わってこれらのことを教えるのは不可能です。ヒナが「落ちている」あるいは「一羽でいる」のをみつけても、それが巣立ちビナならば、近くの木の枝や、安全な草むらに移してあげるなどちょっとした手助けだけで十分です。適切な判断こそが、巣立ちビナを救う最良の方法です。」

・・・上記の記述はあくまで日本国内の情報。

日本語では「巣から落ちたひな/保護する方法」…のようなキーワードで検索すると前記のような情報がたくさん出てきます。
フィンランド語は分かりませんが、フィンランドの国内での一般的な扱い方法を検索してみると、その国独特の自然条件を踏まえた対応方法が分かり、参考になろうか?と思います。

実は私もお便りをいただいたまさにその日に、こんな写真を横浜市新治市民の森の道の脇で写しています。
巣立った後のシジュウカラのヒナですね。
つくし野近辺の市街地でのシジュウカラの巣立ちは、例年5月の連休明け後あたりが多いので、それと比べるとこのヒナは、クチバシの端もまだ黄色く、約1月遅れた成長段階の印象。
見かけたのは、いつもの池に向かう手前の道から1mほど、脇奥に入った低い草の中。
周辺の頭上などを見回すと、樹洞性の営巣をするシジュウカラの巣がある場所とは思いにくく。
やはりすでに巣立ちをし、母鳥に育成訓練中の個体かと…。
しばらく時間が経過した後、この場所を再度通りましたが既にヒナの姿はなく。
シジュウカラは8羽巣立ったとしても成鳥となれるのは1羽以下とも言われています。
無事に親鳥と一緒になり、生き延びていてくれることを願うばかり…。

自然・自然界のいきものとの関りはとても難しく。
この形でご紹介するか?も悩みましたが、皆さんにも考えていただきたいのでこの形としました。
Mさんご夫妻、色々悩まれた…とも拝察します。
今回のやり取りで、私もいろいろ考えさせられました。
共有していただいて、ありがとうございました。
文章:YMさん、Mさん(フィンランド支局)
写真:YMさん(シジュウカラの写真は小池)
引用:千葉県HPなど
小池の写真は、20230624 新治市民の森で撮影
ブログ編集:小池常雄

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