次の活動実施予告・実施済の報告


◎2024年度もつくし野ビオトーププロジェクトを実施します。
〇第2回定例活動は5月11日土と予告していましたが、サツマイモ苗入手の都合で5月19日日専用畑で実施に変更します。
〇 第1回特別活動は、5月5日日こどもの日午後実施します。

2022/10/28

井の頭公園のイシガメとモクズガニ

   かいぼりで戻ったのは?   

10月16日土朝、「かいぼりによる影響」の10月の見学会があると聞き、
生き物と環境とのかかわりの勉強で、井の頭公園まで遠征した際の報告:3回目。
実は、9月の見学会がカメについての観察会で行われるはずだったけれど、
台風の影響で中止。
2ヵ月ぶりの見学会。
この日、井の頭公園ではアウトドア用品のイベントが行われており、普段と違った雰囲気。
集まったのは、ほぼ30人で募集人数ほど。
前回同様、30円の保険費用を支払って、3班に分かれて罠が仕掛けてある場所に…。
かいぼり隊のY氏が、ウキを目印に、仕掛けてあったトラップを引き上げる。
このトラップは滋賀県の琵琶湖でブラックバスなどを捕獲するために開発された物を、この池用に改造したものだそう。
改造した部分は、年に一度くらい潜水上手のカイツブリが小さい穴を見つけて入り込むのを、息ができなくて窒息してしまうことを避けるため。
通報を受けて救助するのだそうだけれど、、。
トラップを大きい網にいれ、中に浮きをいれ、網の上部が水面に出るようにして、息ができるようにしたのだそうで…。
カメ君が入り込んだこともあったそう…。
前回の見学会で見たザリガニ専用のトラップは、ドッグフードを誘引用に設置しているけれど、これは水質保全などのためにエサ無し。
どうして生き物がわざわざ穴に入るかというと、上部にかけてある遮光シートの陰に隠れようとする性質を利用したものとか。
照葉の常緑樹の枝を川底などに沈め、隠れたエビやウナギを捕獲する粗朶漁に似ている。
上下ひっくり返して、中のいきものを、観察用のバケツにあける。
おおお!何がいるか?と参加者一同覗き込む。
別の場所でも…
このトラップは小物ばかりだったけれど、イトトンボのヤゴとヌカエビが数匹。
このトラップでは、アメリカザリガニと銀ブナが捕獲。
銀ブナは在来種なので、放免。
アメリカザリガニは捕獲し後に処分。(冷蔵で殺し、埋設とか…)
「ザリガニで捕まるのが成体ばかりで、薄茶色の幼体がいないのは、なぜですか?」
と、お聞きすると、
「ザリガニは、共食いをする。
従って、ザリガニの幼体(こども)は成体(おとな)を捕食者と考え回避するのではないか?」…との事。
んんんん、ザリガニの子供にとっては、周りの大人が皆敵。
食べられちゃうから近づかない…というのは、人間の世界の話でなくて良かった。笑
たくさん撮れたのは、ヌカエビ。ヌエビではない、ヌエビ
あまり名前を聞かないけれど、この辺りではここしか今は生息していない貴重な種なのだそうで…。
平成29年に行われた3回目のカイボリの後、2年半ほどほとんど見つからなかったものが、3年近く経過した2020年夏以降、急に大発生。
その後は、池全体で安定して生息するようになったとか…。
カイボリが行われるまでは、ブラックバスや、
ブルーギルによって食べつくされていたものが…
平成25年、27年、29年の3度のかいぼりで、外来の肉食系の魚類が駆除され、在来種が過半を占めるようになってから、かれらに食べられることが無くなったから、急激に増えたというわけ。
ヌカエビは、植物食だから食物ピラミッドでは一番下の大きな辺。
カイツブリやウナギなどのピラミッドの上部に位置する肉食のいきものを
底辺で支える大事な役割を果たしていて、
これらが多く繁殖することは、生物相全体を大きくし、豊かにしているということ。

掴まっちゃったから怒ってハサミをこっちに向けているアメリカザリガニ君。
この日参加していた生き物に詳しい家族の子が、捕まえようとしている。
まあ、一般的に、はさみが届かない胴の脇、はさみの付け根辺りを掴むのが定石。
誰しも、痛い経験は嫌だものね…。
ここで、生態工房のS氏が、「ザリガニのつかみかた講座」を開設
前の写真のように怒ってハサミを振りかざして威嚇しているザリガニは、こんな感じでね…
と、前から両手をとって握手するように…。
おお! さすがにうまい!!
こうなってしまっては、ザリガニ君としては「手も足も出ない?」
…いや、足はバタバタ。
でも、手が小さい子どもたちには、ちと厳しいかな???
こわいよね…。
さて次は、
モクズガニ君登場。
爪にモクズを生やしてるからこの名がある。
わが方の活動でも、以前奈良川で今や大学生のI君が捕まえたときの写真が残っている。
腹のふんどしが細いから、オス。
上海ガニと近い種だから茹でたりして食べれば、おいしいらしい。
ここで、S氏から、モクズガニの産卵行動(回遊)についてのお話。
これは私も知ってる。
1級ビオトープ管理士(計画・施工)資格試験にも出てきた、降海型の産卵。
(この逆が、産卵の時、川をさかのぼるサケやアユ。)
海からかなり離れていると思う井の頭池で大きくなったモズクガニ君は、産卵期には伴侶を求めて神田川の源流のこの地を離れて、東京湾へ。
すてきな彼女と運よく出会えれば、数千・数万?の卵を産んでもらえる。
孵化した卵は親の姿とは似ても似つかないプランクトンに…。
何回か、劇的に姿を変え、足が生え、水底を歩けるようになると、神田川をさかのぼり、ここにたどり着いたというわけ。
つまり、この池が綺麗なだけではだめで、この回遊に登場する東京湾、干潟、神田川がすべての環境が健全でなくてはならないということ。
S氏曰く
「モズクガニの足がほっそりと長いのは、
川の流れに逆らって川底をちゃんと歩かなくてはならないから…。と。
なるほど…。
次はイシガメ君。
彼は、私も子供のころ、更に大人になってからも飼っていたし、日本の在来種のカメ。
中型だけれど、健康そうでよく動く。
イシガメのお腹が黒いことを見せてくれているS氏(指先だけ登場)。
いうまでもなく、カメにはへそがない(笑)。
これはハゼの仲間。
名前は、聞いたのだけど…。
こっちは、幼魚の時にブラックバスに食べられず、ここまで大きく成れた銀ブナ。

前回同様、今回見学させていただいたカイボリの効果、3つの生物多様性の意味を
もっと、もっと一般の人が理解するようになると、
公園を楽しむ多くの人たちの反応が変わってくるのかもしれない…と、
今回も思った次第。

〈おまけ:この日の活動案内チラシ〉
文章:小池常雄
写真:   同
上記の記載内の資料や写真は説明会の中で
「環境NPO生態工房」担当S氏より説明された資料
(資料の転載・紹介は先方に了解済)
撮影地:井の頭公園
撮影日:20221016

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