真夏に、枯れ葉?
[横浜新治市民の森 駐車場近くの展望台より、都心方向を望む。点々とナラ枯れした木が見える。] |
あなたは「ナラ枯れ」という事態を知っていますか?
これは「ナラ枯れ」という近年急速に広がった樹木の伝染病によるもの。
「ナラ枯れ」は、
ナラ類やシイ・カシ類(ミズナラ、コナラ、アベマキ、クリ、クヌギ等の落葉樹と、常緑樹のスダジイ、マテバシイ、ウバメガシ、アカガシ等45樹種以上、
要するにドングリを付ける広葉樹)にだけ発生する樹木の伝染病。
「カシノナガキクイムシ(略称:カシナガ)」
(体長4~5ミリのカブトムシのような甲虫の仲間)が繁殖のため、
生きた木の中に穴をあけることから伝染は始まる。
キクイムシといういう名前でも、木そのものを食べるのではなく、木の内部に齧って作った坑道の中に病原菌「アンブロシア菌」(カビの仲間の共生菌)を増殖させ、自らの幼虫の食べ物とする生態を持つ昆虫。
この生態(枯れたカビの菌糸が導管を詰まらせる)が、木が水を吸い上げる機能を阻害し、樹木全体を枯死させてしまうというおそろしい伝染病。
詳しくは、国立研究開発法人森林総合研究所のHP参照
対象となる特定の樹種以外の植物、人・動物に影響はない。
この病気になると、真夏なのに葉がしおれ、紅葉でもないのに葉が茶色や赤褐色に変色してしまう。
こうなると、木は枯死してしまい、来年生き返るというようなことはない。
虫は木に産卵し、越冬し、次の年、菌を保持した状態で、他の木に移って産卵し、伝染を広げていく。
下の写真は、東北森林管理局のHPに紹介されている成虫メスの♀の前胸背板。この穴がマイカンギア(菌嚢)と呼ばれる器官。この穴で共生菌を運ぶ。
被害が拡大すると、森林景観を悪化させ、木材資源の減少等が懸念されている。
1980年代以降、新潟などの日本海側を中心に拡大し、全国に被害が増加。
梅雨が長く気温も高かったこの夏、原因菌を運ぶ虫が活発化し、一気に急拡大したとみられるという。つくし野周辺ではこれまで見かけなかったけれど、今年急に目立つようになり。
以下は、林野庁のナラ枯れの状況と対策をまとめたページ。
昔から、日本にいた昆虫なのに、近年急激に全国に被害が広がった理由・原因は明らかにされていないけれど、個人的には地球温暖化の影響ではないか?と思えてならない。
地球規模の環境変化、気候変動は、簡単に目に見えるものではないけれど、13年ほど、つくし野の畑で様々な作物を栽培していると、年による変化や、そもそも高温化の影響を時々感じる。
ドングリは、言うまでもなく里山の生き物たちのエサになり、子どもたちにも人気。
日本の里山の環境が、これからも変わらないでほしい…と願うばかり。
以下は、新治市民の森の里山のさまざまな夏景色。
これは、大木になるホオバ。
アケビの実も成長中。
里山の小道。
森林性のハシボソガラスが、何か食べ物はないか?と探している。
小道の脇の木陰では、未就学の子たちへの読み聞かせが行われている。
小道のアスファルト上にあったのは、明らかに中型の雑食性哺乳類のフン。
食べた木の実の種がよくわかる。
彼らが活動するのは夜間のみ。
私たちと同じ地球環境の、時間と空間と食べ物を
シェアして(分かち合って)いるのを感じる証拠品。
入道雲が、里山を見下ろしている。
《おまけ》
MSさんが送ってくださった芹が谷公園でのナラ枯れ対策の処置の様子。
中央に付けられたビニール袋の底につかまった成虫が何匹か見られる。
文章:小池常雄
写真: 同
ブログ編集:同
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