次の活動実施予告・実施済の報告


〇第8回定例活動は日程変更し、11月17日日実施済です。
〇第5回特別活動は、10月27日日実施済みです。次回は未定です。

2023/08/22

夏の夜 雑木林で…

  樹液酒場 と セミの羽化  
現在、英国グリニッジにお住いのH家のお二人(兄RH君:中3、妹SHさん:中1)は
以前も一時帰国の際、活動(サツマイモ掘り)に参加してくれていた。
今回の里帰りでは公式活動の開催日にタイミングが合わず。
いとこにあたるASさんを経由して
「何をしたい?」と2人に尋ねたら
「英国でできない日本の子供の夏休みの定番は、昆虫採取でしょ?」…との事で、
希望をかなえることに…。

英国と日本は、長い交流の歴史があり、面積も似ているし、王室・皇室があり、同じ島国でよく比較されるけれど、生物多様性に関しては大きく異なる。
英国が氷河期などで、何度も生物が一掃された歴史があり、生態系がとてもシンプル。
住んでいる彼らに聞いても「昆虫は、あまりいない。」という。
一方日本は、南北に長く、南北で諸島で大陸などとつながっていた時期もあり、島嶼の一部が水没しても一部は残り、氷河期になっても列島全体が氷に埋もれてしまうこともなく、様々な植物・動物が、複雑に南北東西様々な高度の多様な環境で生き残り、それらが関係しあって、結果として複雑で多様な生態系を現在は形作っている。
日本国内に住んでいるとあまり感じないけれど、英国に長く住んでいる彼らには、日本に来るとその違いを感じるのだろう。

夜間の時間帯といい、参加人数といい、参加者の安全確保といい、私の目の届く範囲の少人数でしかできない特別番外プログラとして「夏の夜の雑木林の観察会」を開くことに…。

それに合わせ、カブトムシ相撲大会でのレンタル参加用にキープしておいたカブトムシとクワガタを、本来の生息場所にリリースすることに…。
まず、出発前にリリースする主にオス10匹ほどの個体を確認。
リリースした雑木林は、かつては薪炭林として利用されていた場所。
だから、クヌギ、コナラ系の薪炭として利用価値が高い樹種が多く植えられており、これの落ち葉がカブトムシの幼虫のエサになる。
一方、これらの樹皮からは成虫の蜜源にとなる樹液を分泌する、
つまり、彼らはヒトの里山利用の営みを存分に利用している。
昔、薪炭用材を収穫していた証拠となるクヌギ・コナラの「山おやじ」と呼ばれる根元の膨らみもあちこちに…。
カブトムシなどのリリースを準備。
カブトムシ、クワガタなど、夏の雑木林の主役の甲虫たちは7月初旬から羽化する。
それゆえ、8月の下旬に当たるこの日は、もう少し季節的に遅いのではないか?と思ったけれど、いやいやそんなことはなく…。
このオス2匹、動画で取ればよかったけれど、自然状態でえさ場を奪い合う
「カブトムシ相撲」をしており…。
カブトムシのピークは過ぎているはずだけれど、それでも個体数は少なくなく。
カブトムシは体が大きく丸っこい、そもそも角がある。
だから、樹皮と木質部との中間にあり、根からや葉からの水分・養分の通り道である形成層から染み出す甘い樹液が湧き出す狭い隙間に入り込むことはできない。
表面の浅いところに染み出してくる樹液を嘗めとる方法で食事。
一方、クワガタたちは、体が平たく角もないので、狭い隙間の奥まで体を入れて、樹液を嘗めることができる。
外敵から身を守れ、えさ場を独占できる。
赤く目が光る「ガ」も食事に加わり、まさに昆虫酒場の様相。
上方で固まっている個体はメス3匹。
女子会か?!
これはムカデ。
長さ18cmほどの大型の個体。
毒があるので噛まれると大変。
「ムカデは肉食性で、生きた昆虫などの動く獲物をエサとして認識します。
 好物は、多くの人が大嫌いなゴキブリ! 
その他、コオロギ・クモ・ミミズなども好んで食べるようです。
 また、実は“甘党”で、糖分を好むことも分かっています。」(アース製薬のHPより引用)
なに!ムカデが甘党?!
カブトムシたちのリリースを準備。
樹液がたっぷり出て、カブトムシも樹液にありつけそうな木を選びリリース。
カブトムシのツノのどこを持てば、体を傷つけず、痛くないのか…をレクチャー。
これは私がこれまでに見た中で最小のオスの個体。
私の左手の人差し指の第一関節よりやや大きいほど。
カブトムシたちをリリースした後、散策路を歩いていると、セミがたくさん羽化しているところに遭遇。
遊歩道の擬木の柵が、彼らの羽化にちょうど良い足場になるらしく…。
晴れた日の19時半過ぎ、ちょうどこのタイミングで一斉に羽化しているらしく。
さっと見ただけで、10個体ほどが羽化中。
抜け殻に泥が付いておらず、やや体が細長くスマートなこと、8月も中旬を過ぎたころの羽化であることを考えると、ツクツクボウシか、ミンミンゼミか?
接写できるコンデジで、ライティングを逆光にすると、まだ青白い翅脈が透けて見えて美しい。
よく見ると、鳴くときの共鳴器官になる腹部が、空洞で透けて見えている。
文章:小池常雄
写真:ASさん(小池が写った3枚)、小池
撮影日:20230819
ブログ編集:小池常雄

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