カマキリが池に飛び込むわけ
定点にしている里山の谷の池で、次々と飛んできたカマキリが池に投身。
最初は偶然と思っていたけれど、それにしてもあまりに多すぎる。
3匹目になって、はてと思い出したのは「ハリガネムシ」の生活史。
これがなんとも、恐ろし~~い!!
この時、なんとも恐ろしいことがカマキリの体内では起こっている!
しばらくするとぐったりして、ばたばたできない。
この時、体内に寄生していた「ハリガネムシ」は宿主が水上で死んだことを察知し、体内から水中に脱出!
ハリガネムシ(針金虫)は、類線形動物という仲間。
人間に寄生する回虫(線形動物)に近い仲間。
長さは数センチから1mに達し、白っぽいものから黒っぽいものまでいる。
回虫と違い、体外に出ると名前の通り針金のように固くうねうねと動く。
寄生主に比べてとても長い!
世界では2000種類、日本でも14種類いるとか…。
いろいろないきものに寄生するけれど、幸い、人間には寄生しない。
けれど漫画の「寄生獣」のイメージにも近い。
水中に逃れたハリガネムシは、水中で交接する相手を見つけ、水中に卵を産む。
孵化するとシストと呼ばれる厚い膜につつまれた休眠状態となる。
次に、水棲のカゲロウの幼虫や淡水生の魚などに食べられるのをまち、食べられることでめでたく寄生。
この後、宿主のカゲロウが水中から外に出て、成虫になると、今後はカマキリやカマドウマに食べられる。
宿主の体内栄養を吸収して成虫に…。
そして、普段は水とは関係のない生活をしている宿主を操って水の中に飛び込ませる…。
それはハリガネムシが交接相手を見つけて卵を産めるのは、水中だけだから…。
なんとも恐ろしい生活史。 怖~い!
肉食のカマキリの顔、他の昆虫を頭からむしゃむしゃ食べる姿・生態も恐ろしい。
けれど、はるかに恐ろしい生き物に自身の体内をむしばまれているものが少なくないとか…。
水面でエサを探していたカメが気が付き、パクリ。それにしても、
① ハリガネムシは、どうやって寄生主のカマキリを入水自殺させられるのだろう?
(この答えは、ハリガネムシが卵を産みたくなる秋口に、
何らかの物質を出して寄生主をきらきら光る水辺に誘うのだそうで…???)
② ハリガネムシは、どうやって 寄生主のカマキリが死んだことを察知するのだろう?
早く宿主の体内から水中に脱出しないと、カメに食べられてしまう。
かりに水中に脱出し損ねたハリガネムシを口にしたカメは、食べられないと判断して、口から吐き出すのだろうか?
カメには寄生しないはずだけれど…。
…考えれば考えるほど、疑問が巡る。
様々に研究され、紹介されているハリガネムシの生態を詳しく記した外部のHPは以下。
(外部のHPに飛びます。)
新潮社の「えげつない寄生生物!」(著者:成田聡子)という本の試し読みのページ
絵が可愛く、説明がカワイイ♥。 内容は恐ろし~~い。
日テレの「鉄腕ダッシュ」という番組HP
有名な科学雑誌「ナショナルグラフィックス」HP
神戸大学のHP
こうやってハリガネムシのなんとも恐ろしい生態を知ってしまうと、
カマキリは恐ろしい…というのではなく、哀れにさえ思えてくる。
自然界は、食べたり食べられたりの食物連鎖だけでなく、こういう生活史を知ると
利用したりされたりの相互関係も見えてくる。
鉄鋼マンさん家にいるご実家からのカマキリは、水辺から近くないところで育ったものだろうし、すでに産卵しているから寄生されてはいなかったのだと思うけれど、水場から遠くないところで捕獲するときは、是非ご注意ください。
卵の羽化ではなく、こんないきものが自宅の水槽の中で体内から出てきたら…。
鉄鋼マンさん家は、夫婦仲の良いご家庭であることは、よくよく存じていますが、
危機に陥る恐れもあります(笑)
…ので、くれぐれも気を付けて…。
文章:小池常雄
写真: 同
撮影場所:新治市民の森
ブログ編集:同
0 件のコメント:
コメントを投稿