かわいそうなのは… いきもの?自分??
[よく見ると、3カ所に卵が…] |
このような違いに基づいて、Sawada(1963)はアカハライモリを
6つの“地方種族”(東北種族、関東種族、中間種族、渥美種族、篠山種族、広島種族)」
に分類…との情報もある。
つまり、東北種と関東種は、遺伝子的に異なるということ。
同じ種のようでいて実は遺伝子的には別々の小さな集団。
古くはクサガメが唐(昔の中国)から、ミシシッピアカミミガメやカミツキガメがアメリカから、台湾からキョンが…。
人為的に本来の生息地から、別の地域に放されると、そこの生態系の位置を奪い、在来種を駆逐してしまうことがある。
基本的に人為的な手が加わって生じた新個体は、自然に帰すことはとても危険な行為。
地域で長い間培われた遺伝子情報を混乱させてしまう。
この種の特徴である赤みや斑点模様は、地域差や個体差があり、
ほとんど黒いものや全く斑点が無いもの、逆に背中まで赤いものもいるという。
ほとんど黒いものや全く斑点が無いもの、逆に背中まで赤いものもいるという。
つまり、生まれてしまった個体が寿命などで死ぬまで飼い続けるか、
飼えなくなったら命を奪うしかない。
ちなみにアカハライモリの寿命は、 寿命は20年~25年!
今年生まれた個体は、2042年から2047年まで生きる!!
飼育に手間がかかるイモリをながくながく飼い続ける…これはなかなか大変な事。
[これはつくし野小の池で採取され、おおきくなったおかあさん] |
本来、北海道にいなかったカブトムシが、最近は札幌市の校外の雑木林には生息しているという。
転勤した親についていった子供が、放したものの子孫…というけれど…。
翻って冒頭の言葉、「かわいそうなので、逃がしてあげた」に戻る。
一体「かわいそう」なのは、誰?何?なのかを考える…。
アカミミガメの視点で考えてみる。
「望みもしないのに(ある時は地球の裏側から)連れてこられ、大きく育ててもらったのはいいけれど、ある時、頼みもしないのに故郷とは違う自然環境の中に放り出され…。
この日本という環境は、生まれ故郷から遠く離れ冬は寒くなるので越せず、死んでしまうものもいる。」
日本固有種のイシガメの視点で考えてみる。
「自分たちの種は、太古から日本で暮らしてきたけれど、古くはクサガメ、最近ではアカミミガメが、自分たちがこの国の環境の中で、長い時間をかけて築いてきた生物学的位置に近いところに、急に参入してきた。
そして、彼らと生活空間、食べ物などを奪い合う競合関係となってしまった。
更には混血種さえ生じ、遺伝子的混乱も生じさせている…。」
更にアカミミガメを放した人については…。
実は、池に放す「カメが(自分に飼われていて)かわいそう」ではなく、
「自分自身がかわいそう」なのではないか?
「飼い続けることができなくなり、本当は飼っていたいのだけれど、
飼えなくなった自分自身がかわいそう…」なのではないか?
翻って アカハライモリの飼育者のSさんから
オスを手に入れたと聞いた時、私は、
「一緒に飼育して、こどもを産ませてはいけないよ!
あとあと大変なことになる。」
…とお話ししておいたのだけれど…。
飼い主のお嬢さんは、中2 13歳?
今回産まれた出会うはずがない東北種と関東種による交雑種個体の
天寿を全うさせるには、寿命が20~25年としても
これから先、33歳~38歳まで飼い続けなくてはならないことなる。
一般に人工飼育環境下では、自然環境下より、
はるかに長生きする個体もいることも念のため…。
くれぐれも「自分が(!)かわいそうだから…」と、
自然界で生まれるはずがない交雑種を自然界に放してはいけない!!
かわいそうなのは、時にヒトの歴史より長い時間をかけて培って築いてきた、
遺伝子的特性が人為的に壊されることなのだから…。
[ 追 記 ]
JSさんから、上記を読まれた上で、
つくし野からすぐ近く、横浜市青葉区内で発見されたアカハライモリの
個体群について分析・研究した 神奈川県内の研究者による
2022年1月の論文の情報をお送りいただきました。
結論として、
「見つかった個体群は一度開発などの環境変化で根絶した同種が、
DNA解析などにより人為的な移入によって移入されたものであることを報告。
このような人為的な導入と拡散について、注意を促す。」
…という内容になっています。
前記の小池の文章の論旨と同じと理解しています。
文章:小池常雄
写真:JSさん、小池(画像加工)
論文の情報提供:JSさん
ブログ編集:同
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