次の活動実施予告・実施済の報告


◎2024年度もつくし野ビオトーププロジェクトを実施します。
〇第2回定例活動は5月11日土と予告していましたが、サツマイモ苗入手の都合で5月19日日専用畑で実施に変更します。
〇 第1回特別活動は、連休期間中に野菜の収穫体験を実施予定です。確定後このブログで紹介します。

2022/06/30

葡萄房笠掛支援部隊 出動記

  山梨勝沼のワイナリーで農作業支援  
農業生産の現場を自分で実体験する事は、ビオトーププロジェクトでいろいろな作物づくりについて、参加者の皆さんにお話しする前提となる経験としてよいのでは?と考え、顧問有志でボランタリーの「葡萄房笠掛支援部隊」を編成し、井上顧問の友人:Kオーナーのワイナリーに出動!
出発は、船崎・高見・井上の各顧問と小池の4名で
つくし野を6月25日土曜日の午前5時出発!
夏至直後だからもう明るい時間だけれど、なんともはや…眠い。
(適正速度で)高速を飛ばし、途中で休息をとっても2時間ほど、
午前7時前には、山梨県勝沼市の鳥居平地区にある葡萄畑に到着。
「平」という地名が付くのに、現地はちっとも平らではなく、すごい傾斜地。
甲府盆地を一望にできる西斜面。
朝、7時でこの状態。
この先、太陽がずっと照らし、それゆえ葡萄の生育には適しているのかと…。

この日は、6月としては記録的な高温の猛暑に襲われた日。
空調服、特殊な冷感下着、首の冷却タオル、長靴、サングラス、多量の補給水(凍らせたものも…)や塩分補給タブレットなど、考えられる限りの熱中症対策を準備して、畑に出撃。
葡萄畑は、盆地の西斜面に広がる。
畑に向かうの農道には、獣の溜めフン。
ウメの種とウリ科の実の種がたくさん含まれていて…。
これは棚づくりの葡萄棚。
実際に作業したのは別のタイプ。
これは既にかけてあったものだけれど、四角いパラフィン紙のような、雨をはじく紙を葡萄の房に付け、房が成長する間、雨に当たって品質が劣化することを防ぐことを狙ったもの。
Kオーナーから、最初にこの日の作業方法の説明を受ける。
笠掛けした葡萄の房を透かして、甲府盆地を眺めると、とても美しい…のだけれど、実際はこの日の猛暑で、暑い暑い暑い暑い。
10月末に収穫予定のこの種の葡萄酒用のブドウは、まだこの時期はこんな感じ。
実際の作業はこんな感じ。
立って作業できるなら楽だけれど、そういう作業は少なく。
中腰が一番つらいので、座り込んで尻を地面につけ、少しづつ横移動しながら、特殊な紙に入っている切り込みを房の根元に差し込み、巻き付け、ホチキスで止付けていく…。
言葉で書くと簡単だけれど、幹の裏側にあるものや密集したところと房の状況は様々で…。
ホチキスは滑るし、紙が破れるし…。
斜面だし、強い日光が容赦なく照りつけるし、空調服を着ていても、涼しいはずはなく…。
遠くを見やると、青空にレンズ雲が浮かぶ。
昼食をごちそうになったワイナリーの施設の中にある、夏の終わりころから始まる実際の醸造樽があるワイナリーの工場も見学させていただき。
醸造タンクや貯蔵樽など、これらの多くの資材は、ドイツやイタリア製なのだそうで…。
【注】上記を読んだ人が、どうやらレストランと売店などを併設した観光用ワイナリーを思い浮かべた人が多かったらしく。
このワイナリーは、観光用では一切なく、行政?が開発した工業団地のようなワイナリーばかりが集められて立地している一角にある工場のようなもの。 
醸造施設、瓶詰施設、保管冷蔵庫、事務所だけの組合せた工場。 
観光ワイナリーで、涼しい風に当たりながらの優雅なランチと誤解無きように…。
実験室のようなこの一角は、蒸留してアルコール濃度を調べたりするための施設。
出来たワインを保管する冷蔵庫。
摂氏5度かな?
「このまま、私を縛って放り込んで!!!」…と言いたくなるほど、外は高温。
貯蔵用オークの樽。
朝7時から、1時間半の昼休みを挟んで17時までの延10時間の長時間作業。
特に午後は休みなく作業。
太陽が西に回り込み、陽ざしから隠れにくくなったので、つらい作業となり。
それでもオーナーを加えて5人で一気の作業。
帰路は17時にワイナリーを出発、日帰り温泉で汗を流し、軽く夕食を食べ、勝沼を19時に出発。
幸い渋滞につかまらず、つくし野に帰り着いたのは21時過ぎ。
往復16時間の強行遠征軍。
きつい斜面の畑で皆黙々と作業をし、長時間・高温下でつらかったけれど、
斜面の葡萄畑の各房に4,500枚ほどの白い傘が咲くという達成感が得られ…。
この4,500房から400本のワインボトルができるとか…。
夕方には黒雲が広がり、パラパラと小雨は降ったけれど、土砂降りにはならず良かった。
作業終わりのころ、甲府盆地に「天使の階段」が降りてきて…。
【注】 
英語で「天使の階段」(angel’s stairs、angel’s stairway)、「天使の梯子」(angel’s ladder)、「ゴッドレイ:神の光線」(God Ray)、「ヤコブの梯子」(Jacob’s ladder)などと呼ばれる状態。
「天使の梯子」「ヤコブの梯子」という呼び方は、旧約聖書創世記に由来。ヤコブが夢の中で、雲の切れ間から差す光のような梯子が天から地上に伸び、天使が上り下りしている光景を見たというお話。 …なんとも、ロマンチック♥
日本語で一般的には「光芒(こうぼう)」。 
気象現象用語では「薄明光線(はくめいこうせん)」。 
宮沢賢治に言わせると「光でできたパイプオルガン」とこちらもロマンチックに…。
逆光だけれど、オーナーの姿をシルエットにすると甲府盆地全体に光が差すこんな感じの写真に…。
写真の手前に、葡萄畑。
農作物系でなくとも、実際にモノをつくる現場は厳しいものばかり。
参加した当方の皆が空調服(高見顧問は持参せず)を着用して作業したのは、私がよく知る建築の現場では高温下では着用しての作業が常識なので…。
普段はたった一人で作業している Kオーナーは、肉体的にも心理的にも、なかなかつらい作業のはず。
でも、手塩にかけたおいしいワインができたときの喜びは、かけがえのないものなのだろうと…。
私たちが専用畑で、野菜のタネをまき、育て、野菜ができて、収穫体験したときの子供たちのうれしそうな笑顔のために、日ごろの世話をしているのと同じかもしれない。
[作業後、オーナーが出してくださった冷えた初物のモモ。贅沢にまるかじり]
Kオーナーには、いろいろお世話になりました。
初めて事ばかりの貴重な体験となりました。 お礼申し上げます。
これからワインを飲むたびに、思い出す記憶となりました。
美味しいワインができますように…!

〈おまけ:01〉
2019年5月7日の当ブログで、井上顧問がかつて支援した新芽の芽掻きの作業報告をアップしてあります。 
今回作業した畑とは異なる別の畑です。
さらに実施時期が異なるので、作業内容や場所が異なります。

〈おまけ:02〉
上記ブログ中のKオーナーとは、菊島邦夫氏。
ヴィンヤード・キクシマのHPは
このワイナリーではいろいろなワインを製造しているけれど、こんなラベルのモルモットをテーマにしている。
お聞きしたら、昔飼っていて単に好きなのだそうで…
かわいいものね…(笑)

ワインリストはこんな感じ。

つくし野近くで、このワイナリーで作られたワインを買えるは…
 鴨宮 かのや酒店 ( 小田原市 鴨宮 )
  https://kanoya.on.omisenomikata.jp/
 酒のおおぶち ( 相模原市 緑区 西橋本 )
  https://kura-con.jp/shop/osakeno-oobuchi/
 WINE SHOP nico 横浜店 ( 横浜駅 ジョイナス地下 )
  https://www.nico-wine.com/
 WINE SHOP nico 二子玉川店
  https://www.nico-wine.com/
 街角グラス ( 町田市 飲食店 )
  https://retty.me/area/PRE13/ARE667/SUB2804/100000696241/

この日、カサがけした4,500房の葡萄からできる400本のワインが、
店頭に並ぶ日が早く来るといいな…。
文章:小池常雄
写真:井上・小池
撮影地:山梨県勝沼市鳥居平地区ほか
撮影日:20220625
ブログ編集:小池

1 件のコメント:

モルもっとワイン さんのコメント...

支援部隊の皆様、暑い中大変ありがとうございました。
とても暑い日でしたので昼までかな〜と思っていましたが、皆様は気力体力十分で一気に終わらせることができました。装備も完璧でしたし。
私も翌日空調服を調達しました。
このあとは、8月末〜10月中旬ごろまで断続的に収穫となります。
またのご来訪をお待ちしております。ありがとうございました。
ヴィンヤードキクシマ 拝